2007年04月01日
◆ Word2007 評価
マイクロソフトの Word2007 とはどういうソフトなのか、しばらく試したあとで、評価する。 ──
「 Word2007 ではこんなにすばらしいことができるようになった」
という記事なら、マスコミ雑誌やマスコミ系サイトにあふれている。ざっと見たなかでは、次の記事が良くまとまっている。主な変更点や長所は、これでわかるだろう。
http://allabout.co.jp/computer/msword/closeup/CU20060704A/index6.htm
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一方、本サイトの読者は、そんな甘ったるい記事を求めていないはずだ。悪口を求めている読者もいるかもしれないが、私としては客観的に述べてみよう。
( ※ 私は Word ユーザーだから、このソフトの優秀さはよく知っているし、悪口を言うつもりはない。「OpenOffice を使えばコストダウンできる」なんていう意見には、「2万円ケチって、業務能率を大幅低下させる、ケチ馬鹿」という評価を与える。)
本質的に言うと、次のようになる。
「MS-Wordは、このバージョン以降、まったく別のソフトになってしまった」 その意味は、こうだ。
「ワープロソフトから、DTP ソフトになった」
(1) DTP ソフト
DTP ソフトとしてみれば、非常に優秀である。
第一に、メニューの代わりにリボンになっているのも、いちちメニューをクリックする必要がなく、クリックの回数が一回減るから、何度も書式を変更するときには、とても便利だ。
第二に、リアルタイムで変更を確認できる。たとえば、文字のポイント数を、9とか10とかに変更すると、画面上部の欄の数字を変えるにつれて、文書本体のデザインがどんどん変わっていく。「ポイントを指定 → OK → 文書変更」というふうに三段階にならず、つねに同じ段階のまま、リアルタイムで文書が変更される。画面上にコントローラーがついている感じだ。
というわけで、DTP ソフトとしてみる限り、従来と比べて雲泥の差とも言えるほどの便利さだ。非常に優れた DTP ソフトだと言えよう。(プロ向けの馬鹿高い DTP ソフトを買うよりマシである。)
(2) ワープロ
ワープロソフトとしてみれば、最低だ。
とにかく、このソフトで文書を作成しようとすると、ストレスに襲われっぱなしだ。
第一に、メニュー代わりの「リボン」という奴が画面の上部に出ているから、文書が縦方向につぶれて、偏平になってしまう。それでいて、横の方は、けっこう空白が余っている。これじゃ、肝心の文書をろくに表示できない。また、リボンという奴も、青くて、色がうるさい。以前のように灰色ならばいいのに。
なお、リボンの便利さなどは、何の意味もない。なぜなら、文書の執筆中は、書式なんかはいじらないからだ。単に文字の入力と編集をするだけで、書式はいじらない。なのに、リボンが常に現れていて、うざいこと、この上ない。邪魔くさ。
第二に、文書執筆に必要な機能が、見えにくいところに隠れていることが多い。リボンに現れているのは、DTP 用の機能ばかり。文章執筆に必要な機能は、どこにあるのかもわからないことが多い。とにかく、見つけにくい。以前ならば、メニューを開いて、縦にずらりと並んだ項目から、一つを選べば良かった。しかし今度は、やたらとあちこちにボタンと文字が並んでいて、どこに何があるのか、さっぱりわからない。また、どこだかわかったとしても、別画面をさらに呼び出す必要があったりして、1クリックでは済まない。とにかく、文書執筆用の機能を呼び出すのに、大変苦労をさせられる。
とにかくまあ、「アイコンと文字で並べる」というのは、操作がしにくいこと、この上ない。アイコンをいろいろと覚える必要がある。以前ならばメニューの文字を読むだけで済んだのに、今度はものすごくたくさんあるアイコンを覚えないと使えないんだから。いやですねえ。
なお、特にひどいのは、マクロ機能だ。ちょっとした設定(インストールみたいなもの)を必要とする。さもないと、アイコンがどこにもない。いちいちヘルプを読まないと、使えないわけだ。
第三に、これが一番問題だが、従来のワードとの操作の互換性がまったくない。使い方を全面変更するなんて、馬鹿にしすぎ。この Word2007 を別のソフトとして出して、従来のインターフェースの Word2007 も出して、どちらでも好きなインターフェースで使えるのなら、まだわかる。(本体部分は同じで、インターフェース[≒操作法]だけを変える、というふうにするわけ。)
しかし、そうではなくて、まったく別のインターフェースにするなんて、従来の顧客を馬鹿にしすぎている。「顧客を馬鹿にするな」と言いたいですね。
今はまだ Word2003 も売っているが、そのうち、 Word2003 が消滅したら、従来のユーザーは困ってしまうだろう。
「パソコンが壊れたので新型の Vista パソコンを買ったが、そこに入れるワープロソフトがない。 Word2003 がほしいのに、 Word2003 が売っていない。 Word2007 しか売っていない」
というふうになったら、ユーザーが困る。馬鹿にするな、と言いたいですね。
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以上は、ソフトの面からの難点だが、ハード的な難点もある。
(a)
メモリをやたらと食うらしい。「Word2003 ならばさくさく動きます」という環境では全然足りないようだ。空きメモリが300MB ぐらい必要だと思える。その余裕がないと、マルチタスク時には、動作が重たくなる。(スワップがやたらと発生する感じ。他のアプリも影響を受けて、ブラウザがまともに働かなくなったりする。)
(b)
画面横幅も大幅に必要だ。画面解像度を変更して調べてみたが、どうも、横に 1280ドットぐらいは必要であるようだ。それより短いと、表示されるアイコンが削られてしまう。
縦幅は、もっと悲惨だ。Word2003 ならば、1024× 768 で足りただろうが、今度はリボンが大幅に縦幅を食うので、縦が 768 では足りないので、1280×1024でやっと同じぐらいになる。また、従来から 1280×1024 を使っていた人は、新たに 1600×1200 ぐらいを使わないと、同じ量を表示できない。とはいえ、現実に出回っているのは、ワイド液晶ばかりだから、縦はつぶれてしまう。どうあがいても、無理みたいですね。よほど馬鹿でかい液晶(22〜25インチぐらい)を使えば、今度は横幅が広すぎて、机に収まりきらなくなる。
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結論。
DTP ソフトとして見れば、最高。 → すぐに買うべし。ただしマシンも更新。画面も更新。全取っ替え。
ワープロソフトとして見れば、最低。 → 将来のために、Word2003 のソフトを買って、ライセンスを取得しておくといいかも。しばらくはお蔵入りにしておいて、数年後に取り出して使う。骨董品みたい。
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ユーザー別の評価:
(i)上司が書いた原稿をきれいに清書する下っ端
清書係にとっては、Word2007 はとても便利な DTP ソフトである。
あれこれと文書の整形や飾り付けをするのに、とても便利。
(ii)自分で文章を書いて、あとは下っ端に清書させる上司
文章執筆者にとっては、Word2007 は最低のワープロソフトである。
こんなものはゴミ箱に入れるのがベスト。
【 余談 】
Word2007 はどうしてこういう変身を遂げたのか?
たぶん、企業ユーザーの需要がそうだからなのだろう。
つまり、企業の作る文書というのは、次のようなものだ。
・ 書いてある文書そのものは、内容が空っぽ。無意味なレポート。
・ 下らない内容の文章を、きれいに飾り立てることで、立派に見せかける。
そういうわけで、ユーザーは、「ちゃんとした報告書を書け」と言われたときに、まともな文章を書こうとはしないで、きれいに着色して飾り立てることばかりを考える。「これで立派な報告書ができました」というわけだ。
ユーザーがそういう連中ばかりだから、マイクロソフトもそれに合わせた製品を作ったのだろう……違うかな? (冗談半分ですけど、けっこう本当みたいなところが怖い。 (^^); )
参考1
「文書校正機能」(誤字脱字の検出)という機能は、バージョンアップしたのかと思ったが、ちっとも改善されていない。Word2002 のころと同一だ(と思う)。ちょっと調べたが、チェック状況は同様である。たぶん、バージョンアップしていないのだろう。
参考2
unicode 対応は、十分ではなかった。マクロの作成のとき、 unicode の文字(嘘などの正字)を入力すると、 unicode の文字がすっかり文字消失する。(5文字入力すると ????? というふうになる。)
VisualBasic は unicode に対応したと言われるが、それは出力や検索などの場合だけかもしれない。マクロの作成画面(ソース画面)では、 unicode の文字に十分対応しているわけではない。
過去ログ
2002から開こうとすると、2002立ち上げておいて2002から開く。(こんなめんどくさいこと誰がする?)
妥協策は2002のショートカット作っておいてデスクトップに置き、ここへドラッグ。
> Word の文章校正と文脈に応じたスペル チェックは、メモリが 1 GB 未満のコンピュータでは無効
http://office.microsoft.com/ja-jp/help/HA101668651041.aspx
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参考。
当社では、日本語処理技術を駆使した文章チェックソフト「SpellViser」を開発し、パソコン用ワープロソフト向けに技術の供給をしてまいりました。
適用実績
* Microsoft Corporation
http://ps.canon-sol.jp/sv/product/proofread.html
「Word2007 理系の研究者」
※ 何で URL を記さないかというと、やたらと長すぎる URL だから。
この状態でもAltキーをベースとしたショートカットは有効です。
Wordのオプションから配色を黒にすると、色もおとなしくなるかもしれません。
私は、原案をテキストエディタで作成し、印刷&提出の際にWordにコピーし体裁を整えるのに使っています。
数式番号が割り振れないのがなんとも致命的です.理系研究者の私としては「え!?」ってかんじでした.朝食にこんがりトーストと空っぽのジャムの入れ物を渡された気分?
あと,機能は揃ってるはずなのにどこにあるのかわからない!!ってのが多いです.検索しても内容の薄っぺらな書籍が大量にひっかかるので邪魔で仕方がない.公式のヘルプには何も書かれていない…
今,苦しんでるのは,数式入力中の「¥なんたら」ってショートカットを調べる方法ですOrz 知ってる方がおられたら教えてください><;
ブログ?に掲載してる方はおられるようなのですが,そこではその方がよく使うものだけしか載ってないですし・・・.自力で自分がよく使うものを調べられるようになりたいのですが….
質問の「¥なんたら」は
「クイックアクセスツールバーのカスタマイズ」(画面左上の横棒と▼の記号)
→「その他のコマンド」
→「文章校正」
→「オートコレクトのオプション」
→「数式オートコレクト」
で到達できました….
1年くらい使い続けてたら,必要な機能がどこにあるのかだいたい分かってきて,今ではさくさくと使えてます.