2007年03月24日

◆ 統計の嘘(タミフル)


 インフルエンザ治療薬の「タミフル」の副作用で死亡事故が続発した。このことについて、政府は因果関係の認定を「なし」から「あり」に転じた。180度の転換だ。
 ではなぜ、こういうことが起こったのか? それは統計処理の誤りによる。 ──

 因果関係の有無を調べるときには、統計処理をする。(疫学的な推定。)
 ここで、タミフルと異常行動の関連を調べて、タミフル飲用者も非飲用者も「頻度に差はない」というデータを見た。かくて「因果関係なし」という結論を得た。

 しかしこの統計調査には問題がある。「異常行動」というのを単一視しているからだ。
 異常行動とは何か? 
 通常のインフルエンザで、子供が熱に浮かされて、妙にごろごろと転がることがある。これを「異常行動」と呼ぶ。こういうのは、従来のインフルエンザ治療薬に見られる「異常行動」だ。
 一方、タミフルの場合は、二階から飛び降りるというような、途方もない異常行動が見られる。しかも、頻発する。
 この両者は、まったく別のことだ。

 前者は、無意識的な行動である。大脳の抑制が停止して、小脳などの働きだけで、小さな微小行動が起こるだけだ。自動車で言えば、ハンドルがゆるんで、ハンドルの遊びが非常に大きくなったような状態だ。
 後者は、おかしな意識的行動である。大脳の前頭前野の抑制は停止しているが、左脳・右脳などは停止していない。そこで脳の働きが解放されて、おかしな微小想像が起こる。夢を見ているのと同様である。ただし、夢を見ている間は、体はマヒ状態になっているようなもので、体は動かない。ところがタミフルの場合には、体が動く。……つまり、前頭前野だけがマヒして、他がマヒしていない。非常に特殊な異常行動であり、最も危険なタイプである。

 要するに、異常行動の有無だけを見れば、同じぐらいの頻度で起こるのだろうが、そのタイプがまったく異なる。比喩的に言えば、「飲む」という行動の頻度は同じでも、「飲む」ものがジュースと毒薬ぐらいの差がある。ここで「飲む」という行動の頻度だけを調べてもダメだ。

 結局、統計調査の「量と質」という問題になる。調査対象の「頻度」だけを見てもダメで、「質」を見る必要がある。「何がどのくらい起こったか」ということを見るとき、「どのくらい」を見るだけでなく「何が」を見る必要がある。「何が」のところをいい加減にすると、肝心のものを見失う。

 統計調査では、やたらと数字が現れる。数字は、頻度だ。数字を見ていると、物事を正確に認識したと思いがちだ。しかし、数字だけにとらわれると、かえって真実を見失う。── それが今回の教訓だ。

 [ 付記 ]
 新聞続報によると、この統計調査をしたチームの主任教授は、薬剤会社から金をもらっていたらしい。つまり、グルである。これじゃ、まともな統計調査をする前提すら満たされていないことになる。……これほどひどいとは思ってもいなかった。口あんぐり。

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 余談ふうに、私の感想。

 (1) 位置づけ
 これは未完成な薬である。いわば「悪魔の薬」だ。
 「インフルエンザを根治する薬ができたらノーベル賞」と言われて、その画期的な薬ができたかと思ったら、それには実はとんでもない副作用が含まれていた。……健康を害するどころか、命を奪う。風邪を治すのと引き替えに、命をちょうだいする。
 人類はまだまだ愚かなのだ。うまい具合に画期的な治療薬ができた、と思うのは早計だ。

 (2) 処方
 では、全面的に禁止するべきか?
 いや、そうでもないと思う。次のようにすると良さそう。
 「高熱の患者は、危険なのでやめる。病状が浅く、熱が低くて、意識のある状態(眠らない状態)でのみ、限定的に利用する。根源的な治療薬というよりは、引き初めのときに、症状の悪化を防ぐ目的でのみ、限定的に利用する。」
 「どうしても利用したい場合には、足を紐で結んで、歩けないようにする」

 で、私は? 命をかけてまで、風邪を治す期間を二日間縮めたいとは思わない。臆病なので。どうせ命をかけるなら、別のことにかけたいですね。



 本項の続報は、次の項目で。
   → Open ブログ 「タミフルと異常行動」
       ( 2007-11-23 )
posted by 管理人 at 17:55| Comment(26) |  感染症・コロナ | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
同様な異常行動をしても重大な結果につながるかどうかは環境によりますよね。
例えば、高層階に住んでいて親などの目が届きにくい状況の子どもがどれくらい居るのか。
そういった条件の子どもが増えているとしたら異常行動の発生率は同様でも重大事故は増える勘定になります。
Posted by 茶々 at 2007年03月24日 20:01
ハインリッヒの法則として、
重大事故 1 に対して、軽微事故 29、ヒヤリ・ハット 300
という比率があります。

どのレベルで「異常」ととるか、ですよね。
Posted by itochan at 2007年03月26日 02:28
インフルエンザ14歳男子、タミフル服用せず飛び降り
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070323-00000301-yom-soci

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070323i301.htm?from=main3

>インフルエンザの高熱によって幻覚や異常行動が起きることは知られている。

はい、タミフル飲んでなくても異常行動は起きますよ。
高熱が原因ですね。タミフルじゃないです。
Posted by mildseven at 2007年03月26日 14:37
そしてタミフル潰しのために1千万以上のお金が、他の教授たちに支払われたそうですね。
医療関係は真っ黒すぎて、何が真実かわからないですね。
Posted by at 2007年03月27日 14:44
はじめまして、いーじすと申します。


タミフルってのは具体的にどういう働きをするんでしょうか?

タミフルという言葉はよく聞くのですが
具体的にどういう作用をする薬なのか
テレビでは伝えてくれませんね


このニュースを見て
母親が、「こんな薬なんか使わずに座薬使っとけばいいんだ」と言ってたのですが

文中にも高熱のことに関して書いてありますが
そもそも、インフルエンザの問題点が「高熱」ということなら
母親のいうようように座薬使ってれば良い気がするのですが・・・

タミフルを使わなきゃならない特別な理由ってのがあるんですかね?
Posted by いーじす at 2007年03月27日 18:51
<タミフル>9歳女児が異常行動 インフルエンザ陰性
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070328-00000060-mai-soci

このような記事も出てきました
知らない薬はよく調べてから飲んだほうがいいですね・・
Posted by Takeshi at 2007年03月29日 23:12
少し気になったのでコメントいたします。

>・・・政府は因果関係の認定を「なし」から「あり」に転じた・・・
これは誤りです。ご自分でよく調べてください。政府は因果関係の認定を「なし」から白紙に戻して再調査することにしただけです。

異常行動の質についても同様です。タミフル非服用では「小さな微小行動」だけが起き、タミフル服用では「途方もない異常行動」だけが起きるように断定的に書かれていますが、確認できる情報からすると、どちらの場合も両タイプの異常行動が起きると思われます。

もちろん、それぞれがどの頻度で起きるかを調べなければ意味がないという趣旨の結論については同意するのですが、その出発点と前提条件が間違っていますので説得力に欠けると言わざるを得ません。

さてここからが肝要なところですが、上記した誤りやタミフルを「悪魔の薬」とコキおろしておられるところから見ますと、管理人さんはマスコミの言うことを真に受け、思考停止してしまっているように思えます。
タミフルと異常行動との因果関係はまだ証明されていないようです。だとすると「可能性があるかもしれない」という状況でどうすべきか、ということを議論すべきだと思うのですが。
Posted by sugar at 2007年03月31日 07:43
横浜市で男子中学生(14)が飛び降り タミフル服用せず
男子は19日に38度の熱を出し20日に近くの医院でインフルエンザB型に感染していると診断された。
症状は軽く、解熱剤(アセトアミノフェン)のみ処方され帰宅した
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070330k0000m040044000c.html

12歳男児、9階から転落死 市販の風邪薬を飲み就寝中
http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070328/jkn070328012.htm

インフルエンザ罹患時の異常行動例
http://www.k-net.org/temporary/flu/pub.htm

http://www.sankei.co.jp/seikatsu/kenko/070324/knk070324000.htm
 インフルエンザの治療薬タミフル服用後の異常行動が報告されている問題で
厚生労働省は10代患者への同剤投与の見直しを打ち出したが、世界保健機関(WHO)は近く、
世界的な流行が懸念されている新型インフルエンザ対策としてのタミフル備蓄計画をこれまで通り
変更する予定はないことを発表する。

 高病原性鳥インフルエンザウイルスの人への感染が東南アジアを中心に拡大。
同ウイルスの変異により新型インフルエンザ発生の可能性が高まっているため、
WHOは「新型」でも効果があるとされるタミフルの備蓄を勧めており、
ロイター通信によると、日本を含め世界75国が備蓄に取り組んでいる。
Posted by mildseven at 2007年03月31日 08:42
新型インフルエンザ

・鳥インフルエンザウィルスが変種して、人から人への感染が可能になったウィルスで発症する。
・いままでのワクチンは効かない、新型に対しての免疫を持っていないので重症化する。
・ワクチンは新型インフルエンザウィルスが見つかってからしか作れない、完成、流通まで半年〜1年以上かかる。
・今回発生する新型インフルエンザウィルスは強毒性の鳥インフルエンザの変種なので、致死率が高いと予想される
・厚生労働省では2,000万人以上が受診、死者が50万人を超える可能性を予測している。

http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/pandemic/QAindex.html

新型インフルエンザが発生すれば、私はタミフル飲みますね。
マスコミやここの管理人は飲まないのでしょう。
Posted by at 2007年03月31日 08:58
sugar さんへの回答。

> 政府は因果関係の認定を「なし」から白紙に戻して再調査することにしただけです。

 それを(政府の)「逃げ口上」というのです。もちろん政府は自分の誤りを認めたくないから、「私は間違っていません。白紙にしただけです」と言い逃れます。しかし現実の行動は、建前とは違っています。現実の「使用禁止」(これも厳密に言えばガイドラインだが)は、「あり」と認めたことになります。
 そもそも、この「あり」というのは、短く一語で示しただけです。「あり」と一語で示したことが、実質的には何を意味するかは、報道を読めばわかります。「あり」を「全面的に肯定」というふうに読まないでください。ただの簡略表現です。

> タミフルと異常行動との因果関係はまだ証明されていない

 証明されていない限り無実だと推定する、というのは、一般の犯罪事件には当てはまりますが、疫学的な問題では、そうは行きません。
 論理的に証明が必要なのは数学だけです。それ以外のすべてには、証明は必要なく、単に(十分な)推定だけがあればよい。実験的な証明ができればいいが、実験が不可能な場合には、望む方がおかしい。
 「地球温暖化の証明ができていないから地球温暖化は存在しない」というエセ論理と同じ。
 「南堂が存在することの証明ができていないから南堂は存在しない」というエセ論理と同じ。


> 確認できる情報からすると、どちらの場合も両タイプの異常行動が起きると思われます。

 これも頻度の問題だと私は考えます。
 タミフルを飲まなくても飛び降りた、という例が報告されていますが、ごく稀な例ですから、例外扱いしていいと思います。
 ついでに言えば、風邪を引かなくても(高熱にならなくても)異常行動を取った、という例もあります。それは夢遊病です。これも、ごく稀な例ですから、例外扱いしていいと思います。
 数学の証明ならば、反例が一つでも上がれば命題は崩壊しますが、疫学的な問題では、ごく少数の反例があっても、命題を否定することはできません。……このことを勘違いしている人が多いので注意。反例がたった一つだけ上がったのを見て、鬼の首でも取ったかのごとく喜ぶわけ。
Posted by 管理人 at 2007年03月31日 19:53
匿名(無署名)さんへの回答

> 致死率が高いと予想される

 インフルエンザで死ぬのは乳幼児と老人ぐらいでしょう。若い人が死ぬことはめったにないと思います。強いインフルエンザで死ぬくらいなら、私はとっくに死んでいます。
 タミフルは、私だったら飲みません。ただし、乳幼児と高齢者なら、飲んだ方がいいと思います。今回の措置は十代に限っての使用制限なので、妥当でしょう。
 また、私としても絶対に飲まないわけじゃなく、「飲むなら足を縛って」です。

 ところで、タミフルを飲んで死んだ人は、「自分はどうせ大丈夫だよ。インフルエンザで死ぬより危険性は低いさ」と思って飲んだんですよね。
 私だったら、ロシアンルーレットで死ぬ確率が低くても、ロシアンルーレットはやりません。高齢者でない私がインフルエンザで死ぬ確率はゼロ同然だが、タミフルで死ぬ確率はそこそこある。
 ただし、私も年を食って免疫力が低下したら、タミフルを飲みそうです。(そのころには、もっといい薬ができているだろうが。)

 ──

 余談ですが、風邪に対して一番有効なのは、生体の免疫力を高めることです。普段から睡眠不足になったり疲労蓄積したりするのを阻止しておけば、重症にはならないで済みます。逆に言えば、普段から睡眠不足になったり疲労蓄積したりすると、重症化します。毎日睡眠時間を1時間ぐらい削ると、あとでまとめて何十時間も失うことになります。差し引きして、睡眠時間を削る方が、無駄が多くなります。
 タミフルを飲むか飲まないかよりも、風邪を引かない(引きにくい)体質にする方が有効です。そんなことはできるか? と言えば、できます。昔はクラスで最も風邪を引いていた私が体質改善しましたから。
Posted by 管理人 at 2007年03月31日 19:53
僕もsugarさんなどと同意見です。
現時点で異常行動との関連がはっきり認められていないことを、管理人さんは事実として受け止めるべきだと思います。
ただし、異常行動との関連がある可能性はあるとは思います。タミフルの薬理作用を考えると、中枢神経に特異的に作用する可能性はそれほど高いとも思えないのですが。

また、関連があることを前提にしても、インフルエンザでの死亡者数は毎年千人ほどで、肺炎などによる超過死亡数を考えると大流行の年には1万人以上の方がなくなることもあります。
直接的にインフルエンザが原因で死亡するのは確かに高齢者の方がほとんどなのですが、若い人でもそこから肺炎を併発して亡くなるケースは少なくありません。
その中で、タミフル服用中に精神異常をきたして、飛び降りなどにより死亡したと報告されたのはたしか10人もいかないのではないでしょうか?

僕なら発症直後にタミフルが手に入るのなら間違いなく飲むと思います。
Posted by 医学生 at 2007年04月01日 23:01
連投で申し訳ない。
今回のタミフル騒動では特にマスコミが騒ぎたて過ぎな感じはします。
マイナスイオンだとか酸素水だとかのエセ科学を
マスコミがあおってきたのを見てきたせいか、
僕自身がマスコミ不信になっていて偏ってしまっているのかもしれませんが・・
Posted by 医学生 at 2007年04月01日 23:09
> 若い人でもそこから肺炎を併発して亡くなるケースは少なくありません。

 私は普段から免疫力を高める努力をしていますが、そうでない人も多いし、睡眠不足で免疫力が低下している人も多い。私の友人はいつも風邪を引いています。そういう人だと、タミフルは有効かもしれませんね。

 ま、人それぞれなのでしょう。根源対策をする人もいるし、対症療法をする人もいる、ということ。風邪を引かない(引いても軽度になる)努力をする人もいるし、風邪の引いてから薬に頼る人もいる。
 人それぞれ。
Posted by 管理人 at 2007年04月02日 01:09
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/pandemic/QA03.html
毎年ヒトの間で流行しているA/H1N1ウイルス、A/H3N2ウイルス、B型ウイルスは、ヒトに完全に適応して、共存に近い関係を保っており、基礎疾患の存在や高齢であることなどの要因無しには、感染した人(宿主)の多くを死に至らしめるほどの高い病原性は通常ありません。一方パンデミックインフルエンザは、過去、特に基礎疾患のない健常な若年成人を死に至らしめたことがあります。

管理人は「新型」の文字が読めないのですかね。
通常のインフルエンザと「新型」は別物ですよ。
まあ、管理人がタミフル飲まなければ、その分助かる人が居るのでありがたいことです。

http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/dl/tp1020-2.pdf
アセトアミノフェンを使用したものでは、異常言動、けいれん、熱性けいれん、意識障害等の臨床症
候の出現が有意に増加していた(資料 4-8@〜C)。

アセトアミノフェンが含まれる解熱剤も服用しない方が良いですよ。

タミフルは今まで3000万人以上に処方されてます。
そのうち転落死が起きたのは10例あるかどうかでは。
タミフルを飲んで転落死したのも例外として扱われる頻度でしょう。
インフルエンザによる異常行動はよく観察されます。
夢遊病でも何でもないですよ。
Posted by 774 at 2007年04月02日 05:19
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2007/03/post_22ee.html
タミフルについて世界保健機関の現状の見解

WHO says Tamiflu concerns not affecting stockpiling
世界保健機関はタミフルに関する懸念は備蓄に影響しないと述べた

EU Drugs Panel Says Tamiflu Benefits Outweigh Risks
EU薬剤パネルはタミフルのメリットはリスクに上回ると述べた


WHOやEUは管理人に言わせれば、統計の見方を知らないようですね。
管理人が新型インフルエンザ発生時にタミフルを飲まないのはかまいませんが、
(むしろそれだけ助かる人が出るので大歓迎です(^^))
他の人がタミフルを飲むのを邪魔しないでいただきたいです。
Posted by マイクロテック at 2007年04月02日 12:36
なんだか揚げ足取っているみたいでいやなのですが、
書き逃げだとされるのもいやなので書きます。

>私は普段から免疫力を高める努力をしていますが、そうでない人も多いし、睡眠不足で免疫力が低下している人も多い。私の友人はいつも風邪を引いています。そういう人だと、タミフルは有効かもしれませんね。

これは論理のすりかえです。
今私が話題にしていたのはタミフルが異常行動を起こすかどうかです。
もちろん抵抗力を高めることはとても大事ですが、
インフルエンザやその他の感染力の強い疾病の場合、
感染は健康な人でもします。予後はもちろん大きく変わりますが。

>ま、人それぞれなのでしょう。根源対策をする人もいるし、対症療法をする人もいる、ということ。風邪を引かない(引いても軽度になる)努力をする人もいるし、風邪の引いてから薬に頼る人もいる。

この場合、根源対策というほうはともかく、対症療法という言葉は医学的に間違っています。
タミフルはインフルエンザの増殖に必要な酵素を阻害することで増殖を抑えます。こういった薬は根治を目指しており、対症療法とは市販の風邪薬などに含まれるアセトアミノフェンなどの、熱や関節痛といった症状を抑える薬を投与する事に対していうものです。
今回の場合、対症療法という言葉を慣用表現で用いたのかもしれませんが、話題が話題だけに一応指摘しておきました。
Posted by 医学生 at 2007年04月02日 18:52
>パンデミックインフルエンザ

 情報をありがとうございました。
 パンデミックインフルエンザなら、私もタミフルを飲みそうです。私はもともと「絶対飲まない」ではなく、「飲むなら足を縛って」という立場です。
 でも、本当は、タミフルよりはリレンザの方がいい。(だから実際にはタミフルを飲まないと思う。たぶん。そのときにならないとわからないが。)

 なお、パンデミックインフルエンザは、将来の可能性であって、今現在の現実のことではありません。パンデミックインフルエンザが実際に流行したあとでどうするか、という話なら、「薬を飲む」という結論が出ますが、今現在の現実のこととしては、「薬を飲む」という結論は出ません。本項では、仮定の話ではなく、現実の話をしています。

> アセトアミノフェンを使用したものでは、異常言動、……
> インフルエンザによる異常行動はよく観察されます。

 これは本項のテーマそのもので、小さな異常は大きな異常とは異なる、という見解を取ります。
 とはいえ、解熱剤は飲まない方がいい、という結論には同意します。解熱剤よりはタミフルの方がずっといいでしょう。

> 他の人がタミフルを飲むのを邪魔しないでいただきたいです。

 何だか、いつもそういう批判が来るんですよね。  (^^);
 私は(少なくとも本項では)別に他人の行動には指図していません。あくまで「私ならこうする」という私の個人的な態度を示しているだけです。(本文を読めばわかるとおり。あくまで余談としての個人的感想。……ただしこれを誤読する人が多い。)

 ですから、私の方針を他人に押しつけるつもりはありません。(コメント欄でも「人それぞれ」と書いています。)
 特に、免疫力の弱い人なら、飲んだ方がよさそうですし。
 とはいえ、「タミフルを飲んだ方がいいですよ」とお勧めするつもりもありません。その人が飛び降りて死んだときに、責任もてません。ま、世の中には、責任を持てる人もいるんでしょうけどね。

 ついでですが、私の見解は
 「飲むな」
 ではなく
 「飲むなら足を縛れ」(特に初日は)
 です。

 ──

 ところで、「飲むな」と言ったのは政府です。私に文句を言っても仕方ないと思うんですけど。・・・・誰も私の言うことなんか聞くはずがないんだし。
 病気になったときは、医者でもない人の雑談に従うべきではありません。じゃ、どうすればいいか? 自分の頭で考えましょう。

> 今私が話題にしていたのはタミフルが異常行動を起こすかどうかです。

 今私が話題にしていたのはタミフルが異常行動を起こすかどうかではありません。
 (むしろ、それを論じてはならない、と主張しています。本項のテーマを理解してください。)

 タミフルの使用の是非の論議は、医学の問題なので、私の担当領域の外です。私に医学的見解を要求しないでください。医者としての知識はほとんどゼロです。
Posted by 管理人 at 2007年04月02日 19:19
薬は、すべて毒です。飲まないほうがいい。高熱は、ビールスを殺すための身体反応です。解熱剤は、ビールスの味方です。
下痢は、毒物を対外へ排出するための身体反応です。下痢止めは、毒物の味方です。
Posted by 花の山 at 2007年04月05日 22:33
興味深く読ませていただきました。
 医者ではないので、個人的な意見ではあるのですが、タミフルを飲んでも1日か2日治りが早くなる程度のものだと思います。先にコメントされているように、まずリレンザを試すのが特に小児では良いようです。リレンザは使いにくいので今まで流行らなかったようです。

 管理人さんのお話の趣旨に概ね同意するのですが、寄付金について、違う側面もあるので老婆心ながらコメントしたいと思います。
 厚労省の研究班に加わってくる医師などは、一応その分野では先端にある人で、企業もそのような人物に寄付することでその分野を発展させるという側面もあります(当然、怪しい事例もあるのでしょうが)。私が言いたいのは、寄付金を受ける人物と研究班にいる人物が重なることは大いにあり得るということです。手続きに問題を抱えているかもしれませんが、それは厚労省に分が悪い話ですね。
 金の動きだけで癒着を示唆するような報道があり、これを読んだら多くの人が騙されるなぁと思っていました。
 いいお話なのにもったいないと思いコメント残しました。長文失礼しました。
Posted by ドアドア at 2007年04月10日 18:17
> 寄付金を受ける人物と研究班にいる人物が重なること

 研究班なら問題ないと思います。
 問題は、統計調査をする班。統計調査ぐらい、非専門家だってできるんだから、「李下に冠を正さず」で、当該の製薬会社から金をもらっていない人に頼むぐらいは、簡単でしょう。

特に、ライバル会社に金をもらっている人なら、かえって好都合。「この会社の薬の難点を探してやれ」とアラ探しするだろうから。

 私のサイトのアラ探しをしたがる人が多いように、他人のアラ探しをしたがる人はいっぱいいます。そういう人の根性を逆用すればよい。
Posted by 管理人 at 2007年04月10日 19:47
地方のしがない小児科医です。そして、今回の『タミフル騒動』がどうにかうまく決着してほしいと望んでいます。
うまく説明できるかどうか分かりませんが、私見では今回の、厚労省の考え方は今の所、妥当な見解だと思っております。
sugarさんのおっしゃる通り、政府(厚労省)は因果関係の認定を「なし」から白紙に戻して再調査することにしました。そして、10 才台に投与することは原則として禁止としました。
これは、『因果関係があり』としたからではありません。
物事には因果関係『あり』、『なし』を決定する前に『灰色』という状況がかならずあります。その時に『灰色だから飲むな』、『灰色だけど飲んでも良い』の二通りの選択肢がありますが、厚労省が選んだのは10才台は原則として禁止でした。
厚労省がなぜそのような決定をくだしたのか…。
ここからは推測になりますが…。
インフルエンザは罹患すると死亡することのある疾患であることは確かです。
国立感染研究所のHPを見ると、平成17年には約1800人のかたがインフルエンザで亡くなっていることがわかります。
http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/fluQA/QAgen01.html
ここで大切なのは、亡くなられている方の大半が65才以上ということです。
年齢別に見てみると、インフルエンザによる死亡の一番がお年寄りで、その次が乳幼児となります。そして、一番少ないのが、10才代なのです。
そこから考えて、10才代の人に対してはとりあえず投与するなという勧告はきわめて理にかなっていることと思えます。
もし、今回の飛び降りが、ご老人に起きていた場合、1600人前後のインフルエンザによる死亡と、10数人の飛び降りによる死亡とどちらかをとるかというと、おそらく『灰色だけど因果関係がわからないから内服しましょう』ということになるのではないでしょうか? (おそらく一般の方々は納得されないと思うので、違う表現になるかもしれませんが…)
さて、今後厚労省はどのように検討をしてゆくのでしょうか?
平成17年の日本でのタミフルの年間販売量は1080万人分だったようです(http://www.mypress.jp/v2_writers/beep/story/?story_id=1251548)。そのうちの10数人の異常行動が本当に多いといえるか? 
厚労省が持っているデータは薬の副作用報告のみと思われます。これでは、インフルエンザのみではこのような異常行動が起きないか?については調べようがありません。
これについて検討していたのが今回ケチのついた?研究班のものであり、私たちも参加してアンケートに答えたものでした。
これは、各施設がある時点から開始して、調査用紙がなくなるまで、インフルエンザに罹患したひと全員に、アンケートのお願いをし、同意が得られた人に用紙を渡して、インフルエンザ罹患後の異常行動等について書いてもらうという形式のものです。非常に重要な疫学調査だと思っているのですが、誤解により(だと私は思っています)、もしかするとこの調査がだめになってしまうかもしれない状況にあります。
長くなってしまいますので、この調査の方は改めて書こうと思っています。
Posted by 一小児科医 at 2007年04月13日 22:25
先日書いたものの続きを書きます。厚労省の研究班に関する話です。
今回の厚労省研究班が中外製薬からお金をもらっていた(新聞記事によっては『流用』)という経緯ですが、大筋は以下のもののようです。
研究班が検討していたのは『インフルエンザに伴う随伴症状の発言状況』であり、タミフルの因果関係がすべてではありません。以前から小児とインフルエンザ脳症との研究を進めていた一貫で、これに厚労省が乗って補助金を出したという経緯です。
厚労省が出したお金は400万円。今回の検討は1万人規模の調査で、3万人分の調査用紙を作成し、2万5千人分を配布したそうです。アンケート方式ですので、患者様にお渡しする資料には80円切手を貼った封筒もあり、これだけでも200万円かかります。資料作成、配布だけで400万円は充分かかりそうです。それらを回収し、入力・分析する費用は全くありません。その由、厚労省に訴えたところ、資金は出せないとのことだったので、企業に寄付金を呼びかけ、結局のところ、タミフルの中外製薬が6000万を出したということのようです。そのことは厚労省にも報告しており、何のおとがめもなかったようです。
ところが、マスコミに『タミフルを販売している中外からの寄付金が流用されている』と発表され、柳沢厚労相は「かなり反省すべき点がある」と謝罪した。
…これが大筋です。
今回のことを整理すると、
1、今回の調査はタミフルの異常行動の有無を証明する目的の調査ではないこと。(もちろん一部にはあります)
2、研究調査にはお金がかかる。(もちろん私たちも、アンケートに参加していただいた患者様もお金はもらっていません)
3、厚労省もお金がなく、寄付金を集めなくてはならない。
4、企業は自分のところに関係のない調査に対して(当然のごとく)お金は出さない。(なぜ、リレンザの製薬会社からは寄付が出なかったのだろう)
5、寄付金は調査費用のため集めたものであり、流用ではないこと。
6、そのことを厚労省は知っていたということ。
今後危惧されること
1、今回の調査はインフルエンザの随伴症状に関する大々的な疫学調査で、かなり有用性があると思われる。(もちろんバイアスは入りますが)
2、今回の報道で調査にさらにバイアスがかかってしまう可能性がある。
3、今後、調査自体が進まないか、結論を出したとしても信用されなくなってしまう。
などなどです。
私は研究班が出した声明を本当のことだと信用して書いています。皆様はどのようにお考えでしょうか?
誤解を減らすため、声明文の全文を載せようと思いましたが、ERORでした…。
Posted by 一小児科医 at 2007年04月15日 00:04
>管理人様

>「飲むなら足を縛れ」(特に初日は)

 それを言うなら、のまなくても足を縛った方がよいのでは?異常行動が報告されていますよ。

厚労省の見解は「タミフル服用にかかわらず、インフルエンザ発症後二日間は特に注意すること。」妥当なところだと思います。

>小児科医様

>2、今回の報道で調査にさらにバイアスがかかってしまう可能性がある。
>3、今後、調査自体が進まないか、結論を出したとしても信用されなくなってしまう。

 大いにありそうなので困りますね。
これだけ報道されたら、プラセボ効果も馬鹿になりませんし・・・。
Posted by kitten at 2007年04月15日 22:06
興味深い話題ばかりでしたので拝見させていただきました。
客観的に見て、アラ探しではないと思いますが。
間違いは素直に受け止めるべきです。
Posted by 通行人 at 2007年07月19日 05:13
続報があります。次の項目で。

http://openblog.meblog.biz/article/127116.html
Posted by 管理人 at 2007年09月29日 20:25
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