2007年03月09日
◆ 印刷会社テンプレ
印刷会社の、顧客向け文書のテンプレ。
「字体の変更があるので、ご注意下さい」
という文書見本。 ──
趣旨は、次の通り。
「このたびJISの字体の変更がありました。同一のフォントで正字と略字が混在しており、混乱の恐れがあります。ご注意下さい」
意図は、次の通り。
「当社のせいではなく、国家の責任ですから、当社に文句を言わないでください。文句を言うなら、国家に文句を言ってください」
効果は、次の通り。
・ 顧客に文句を言われなくなる。
・ 文句を言う顧客からは金を取れる。
( ※ 理由は、前項のコメントを参照。)
━━━━━━━━━━<テンプレ開始>━━━━━━━━━━━
【 見本 】
お客様へのご注意
二種類の字体の混在について
弊社をご利用いただき、ありがとうございます。
電子的に入稿した原稿を印刷するにあたっては、「字体の混在」という問題が起こりますので、ご注意を申し上げます。(これは当社だけで起こる問題ではなく、どの社でも起こる問題です。)
2007年01月に、マイクロソフト(株)が、同社製の「MS明朝」および「MSゴシック」の字体を変更しました。( Windows Vista の発売にともなう措置です。)
このことによって、文字コードとして同一の文字が、二種類の字体で表現されるという状態が起こりました。たとえば、次のように。
(従来) 〓 〓 〓 〓 〓 〓
(今後) 芦 榊 辻 祇 葛 鯖
つまり、従来は略字で表示されていましたが、今後は正字で表示されるようになります。それが標準となります。
この方針は、マイクロソフトが独自に決めたものではなく、国家的な標準規格である JIS によって 2004年に決まったものです。( JIS2004 という規格です。)
また、JIS がこのような規格を定めたのは、1999年に国語審議会がその旨の答申を出したからです。(正字ないし印刷標準字体に統一するべし、という趣旨の答申。)
したがって、従来は「略字」で画面表示・印刷されるのが原則でしたが、今後は「正字」で画面表示・印刷されるのが原則となります。
たとえば、「祇園」「葛飾」「鯖江」などの地名は、従来は不正確な略字でしか印刷できませんでしたが、今後は正字で印刷できるようになります。
さて。このように原則の変更がありましたので、電子的に入稿された原稿につきましては、当社としては原則として正字で印刷することにいたします。[注1]
しかしながら、お客様におかれましては、「どうしても略字で印刷したい」というご要望があるかもしれません。たとえば、「芦田」「辻村」「榊原」などにあらわれる一字目(芦・辻・榊)を略字で印刷したい場合などです。
その場合には、当社としては、誠心誠意で対応いたします。
当社としては、次の方針を取っております。
(1) 原則としては、正字で印刷いたします。ただし、お客様のご了承をいただいてのことです。
(2) お客様のご要望により、従来通りの略字で印刷することも承ります。その場合、手数料をいただきますが、当社ではごく低価格の手数料にとどめております。(わずか 300円です。)
(3) 全文一括して正字または略字の場合は、上記の通りです。一方、一字一字、個別に略字または正字に指定し直すことも可能です。(例。正字の文書で一箇所だけ略字にする。)その場合には、次のようになります。
(a)お客様がすべて指定した場合。フォント指定のMS-Word文書を使う場合。
…… 料金は別掲の[表1]の通りとなります。
(b)お客様が手書きで修正した原稿を見て、当社が電子的に入力する場合。
…… 料金は別掲の[表2]の通りとなります。
上記の (a)(b)のようになります。
かなり高額なので心苦しいのですが、当社としては赤字ギリギリのサービスであるので、よろしくお願いします。
──────────
【 参考 】
参考として、選択の指針を示します。
今回は、新たに何らかの問題が発生したというわけではありません。従来は略字でしか印刷できなかったのが、今後は新たに略字でも正字でも印刷できるようになっただけです。一通りしかなかったのが、二通りになっただけです。
したがって、(a)(b)は余計に取る金額ではなく、新たに登場した新サービスに対応する新料金です。
もし従来通りのサービスをお望みでしたら、そのことも可能です。従来通りのサービスをお望みの場合には、(2) をご注文下さい。わずか 300円の追加料金で承ります。
──
なお、どちらにするか迷う場合には、(1) のように、正字に統一することをお勧めします。公の場で使う文字は正字に統一するべきだ、というのが国語審議会の方針です。当然ながら、印刷物は正字にするのが標準的になるでしょう。たとえ人名漢字であっても、公の場では正字で表示するのが日本語では標準的となります。(多様な異体字をすべて用意することは原理的に不可能です。)
なお、このことは、公的な場にのみ当てはまります。私的な場には当てはまりません。当然ながら、個人的に手書きで書く場合には当てはまりません。手書きの場合には、どのような字体にするかは、書く人の意思に任されます。国語審議会が示したのは、あくまで公的な場における印刷物についての標準だけです。
※ 公的な場というのは、大勢の人の目に触れる場、という意味です。
多くの人が意思を共有する場では、言葉や文字は標準化されます。
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[注1] 原則として正字で印刷することにいたしますが、ただし、若干の例外があります。あくまで JISに依拠するので、JISで正字になっていない分については従来通りとなります。)
なお、どの文字が変更されたか、ということについては、下記サイトが参考となります。
→ http://openblog.meblog.biz/image/guide03.htm
━━━━━━━━━━<テンプレ終了>━━━━━━━━━━━
【 利用条件 】
このテンプレは、無料でご利用できます。(業務上の利用でも無料です。改変も自由です。)
ただし、利用に当たっては、本ページへのリンクを、ご自分のサイトに置いてください。それが利用条件です。(なお、文書自体には、「引用した旨」の表示は必要ありません。)
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