2007年02月05日

◆ 23字以外の8字


 JIS2004 で「字形の変更」から漏れた 31 字中、23字については、前項で用例を示した。では、残りの8字はどうだろうか? その詳細を調べると、こうわかる。
 「規格上は、字形の変更がなされていないはずだが、現実には、フォントごとに状況はいろいろだ」と。
 ま、どうでもいい話。重箱の隅みたいな話。 ──

 まず、23字を再掲すると、次の通り。

    廠 鱈 唳 堋 捩 梛 湮 甄 硼 箙 粐 綛
    綮 綟 芍 荵 蟒 褊 諞 譁 邉 扈 鮗


 31 字中、残りは次の8字。

   (欝) {曾} 凋 [菟] 塘 兔  [寃] {訛}


 これらはの状況は、どうか? 前々日分では、「修正されていることもある」というふうに扱ったが、正確に言えば、「フォントごとに異なる」となる。つまり、XANO明朝では修正されているが、他のフォントでは修正されていないことがある。特に、MSフォントでは修正されていない(らしい)。
 この8字について、詳細を見ると、次のようになる。

 (1) 訛
 この1字は、「正字の追加」で対処されている。「字形の変更」がされていないのは当然だ、ということになる。「字形の変更の漏れ」というには当たらない。南堂私案とは方針の違いということになる。

 (2) {曾}
 この1字は、修正されているフォントが複数あるようだ。
( JIS2004 で修正されたと公式表明された 168字には入っていないが、実際には 168字のついでに修正したフォントが複数あるようだ。XANO明朝と、他にもあるようだ。)

 (3) (欝) 凋 [菟] 塘 兔 [寃]
 これら6字は、修正されているフォントは一つだけのようだ。
 (JIS2004 で修正されていると公式表明された 168字には入っていないが、 XANO明朝 だけでは修正されているようだ。他にはないようだ。)

 以上をまとめて、数字で区別すると、次のようになる。
  ・ 23字 …… 未修整。JIS2004の欠陥。そのまま放置されている。
  ・ 1字 …… 対応済み。(正字の追加)
  ・ 1字 …… 未修整。ただし現実には、複数フォントで修正済みらしい。
  ・ 6字 …… 未修整。ただし現実には、XANO明朝でのみ修正されている。

 ──

 なぜ、こういうふうにばらつきがあるのか? JIS2004 として見ればおかしなことだが、JIS97として見ればおかしなことではない。フォントごとに差があって当然だ。元はと言えば、標準たるべきJISがもともと不完全な規格であるから、こういう不統一なことになる。
 なお、統一された形は、南堂私案である。その 31字(または 「訛」を除いた 30字)が完璧な姿だ。他は、不完全なものとして、30字未満のものがいろいろとある。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 【 参考1 】
 複数フォントの出典は? XANO明朝以外は、次のサイトがある。
http://www.eonet.ne.jp/~kotobukispace/ddt/jisx0213/02132004.html
 
 他のフォントについては、このあと調べます。
 一太郎のフォントについては、来週に調査する予定。
 なお、下記には関連情報として、興味深い情報がある。
    http://blog.drecom.jp/tetsus/archive/17

 なお、Mac ではいろいろと自由に使えるが、あれは独自規格になってしまっているから、あまり言及する気にはなれない。TRON も独自規格だから、言及する気にはなれない。

 ── 

 【 参考2 】
 8字について、用例は? 
 「塘」以外なら、用例はふんだんにある。
 「塘」の用例は、大辞林の見出し語に「池塘」「堤塘」が見出される。
 なお、「兔」は「兎」の異体字(誤形)。「寃」は「冤」の異体字。(誤形)

 ── 

 【 参考3 】
 8字について、字形は?
 正しい字形は、漢和字典を見ればわかる。ただし、紙の辞典であるべき。
 電子漢和字典ではダメですよ。

 ここを誤解すると、次の電子漢和字典のように、嘘情報が出る。
   “ 最新のJIS規格(JIS×0213:2004)対応フォントを採用し、全てのコンテンツで書籍などと同様の字形で漢字を表示できる。”
http://ascii24.com/news/i/hard/article/2007/01/24/667417-000.html
http://www.casio.co.jp/release/2007/xd_sw7300.html

 「正しい字形」と称して、嘘字形をふりまくのだから、その罪は重い。
 ついでに言えば、その責任は、この会社にあるというよりは、JIS委員会にある。彼らがいまだにおのれの間違いを認めないことが諸悪の根源。
 (調査を国語審議会に丸投げして、文字講堂をちゃんと読まなかったことが理由。いや、読んでいたんだろうけれど、「南堂なんか気に食わん」と無視したのが理由。……ま、それはわかります。「字形の変更」だけでなく、文字集合まで含めて、あれもこれも南堂私案に合わせたら、南堂私案そのものになりかねない。それじゃJIS委員会のメンツがつぶれるからね。)
posted by 管理人 at 20:15| Comment(2) |  文字規格 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あとで思い出したが、秀英明朝もある。
「一太郎文芸」で自由に使える。ただし5万円。

秀英明朝は、読み取り用なら、電子書籍の読み取りソフトに添付されていることがある。ネットで「秀英明朝」を検索すれば見つかる。
Posted by 管理人 at 2007年02月06日 04:54
【 参考1 】の補足。

 MS以外のフォントはどうかというと、まだ何も決まっていないようだ。
 以下、引用。
 ──
 フオントメーカを軒並み聞いて歩きましたが、microsoft社ビスタ対応で、166文字の範囲までは字体変更で出荷する予定とまでは話されます。が、ビスタ独自の拡張漢字(約950文字)対応に関しては未定。フオントワークス、ダイナフォト等のフオントメーカとしては、業界として一致して考えて決めるとのことが共通のコメントでした。
 モリサワ(は)……7月までには販売開始とするとのことです
http://blog.goo.ne.jp/tmlarao/e/60bbc35bfefb226d11aa5efa3d0b6b5c
 ──
 各社のフォントが決まるのは、今夏以降のことで、しかも、各社そろっての対応ということらしい。とすれば、現時点では調査対象にはならないだろうし、いちいち各社ごとに調べる必要もないだろう。
Posted by 管理人 at 2007年02月10日 19:41
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ