2007年02月02日

◆ 字形の変更の漏れ


 「字形の変更」の漏れについて語ろう。
 「字形の変更」から漏れた分がある。本来ならば「字形の変更」がされるべきなのに、「字形の変更」がされないままの文字だ。正字にならずに、略字ないし誤字のまま取り残された文字だ。それは、何か? ──

 この目的のために、次の二通りのリストを示す。

 (A) 168字と122字の差分(46字)
    ※ 168字と122字については、前項を参照。
    ※ 具体的な字形は、右下の画像の通り。(クリックして拡大。)


image64.gif
廻 蟹 釜 灸 喰 粂 隙 牽 鍵 梗 膏 叉 鮫 餐 楯 杖 訊 挺 兎 牌 駁 挽 誹 稗 斧 娩 鞭 爺 叟 咬 徘 棘 橙 狡 甕 甦 祟 竈 腱 艘 芒 虔 蜃 蠅 靄 靱

 この 46字は、ざっと見たところ、特に「字形の変更」が必要だとは見えないものばかりであるようだ。
 とはいえ、細かく見れば、「字形の変更」が必要だと思えるものもある。「兎 挽 娩」や「牌 稗」を見ると、正字では「ノ」のようになっている箇所がある。また、「芒」も左端に字形差がある。

 ──

 (B) 南堂私案と 168字+39字 との差分(31字)
    ※ 南堂私案とは文字のリストが異なる。南堂私案の文字のリストは後述。
    ※ 168字は前出。39字は「字形の変更の例外」の文字。
    ※ 具体的な字形は、右下の画像の通り。(クリックして拡大。)


image32.gif
(欝) 廠 {曾} 鱈 凋 [菟] 塘 兔   唳 堋 [寃] 捩 梛 湮 甄 硼 箙 粐 綛 綮 綟 芍 荵 蟒 褊 {訛} 諞 譁 邉 扈 鮗

 注記:
  ( )内は簡易慣用字体。
  [ ]内は78JISでも誤字。
  { }はデザイン差とも見なされるワケありの2字。


 この 31字が、どうして字形の変更が必要であるかは、画像を見れば一目瞭然であろう。本来ならば正字になるべきなのに、略字になっているものが多い。略字と正字の字形差は大きい。
 なお、詳しい解説は、文字講堂 の資料にある「略字&正字」という圧縮ファイル中の data-add.htm というファイルに書いてある。{ }のワケありの2字についても、ワケありの理由が同じ圧縮ファイルの別文書に記してある。

 ──────

 ともあれ、以上の文字は、Vista のMSフォントや、JIS2004 のフォントでは、正字にならないようだ。(厳密に見ると、いろいろと考慮すべき点もあるが。)

 なお、以上の 46字 および 31字は、Vista の MSフォントではどうなっているか? もちろん、修正されていない。従来通りで、略字のままである。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 以上の調査では、文字集合の差分を検出するのは、人力ではなく、コンピュータでのプログラムによる。当然、詰まらぬケアレスミスはない。

 なお、「逆差分」とも言うべきものがある。小さい方の集合にだけある文字。
 それがプログラムによって検出された。

 (1) 122字にあって 146字にないもの。
    冤 喩
 (2) 168字+39字 にあって南堂私案にないもの。
   (i) 嘘 噛 倶 掻 痩 祷 呑 蝋 妍 并 叱
   (ii) 茨 牙 廻 蟹 釜 灸 笈 喰 粂 牽 鍵 梗 膏 叉 鮫 餐 楯 杖 訊 穿 註 挺 兎 駁 誹 豹 斧 蔑 篇 鞭 爺 叟 咬 囀 徘 扁 棘 橙 狡 甕 甦 疼 祟 竈 筵 篝 腱 艘 芒 虔 蜃 蠅 訝 靄 騙 鴉


   (i) は、簡易慣用字の追加分(10字)と「叱」の1字だ。
     つまり、「字形の変更の例外」で示したもの。特に考慮する必要はない。
   (ii) は、南堂私案では「正字化すべきもの」から漏れた文字。 71字。
     漏れた理由は、デザイン差と見なされるものが多い。だが、
     例外もある。ざっと見ると「兎 扁 疼 芒 鴉」は字体差と見なせる。
     (南堂私案でこれらが漏れた理由は、もともと JIS78 で新字体だから。
      つまり、これらは JIS83 で略字化されたものではないから。)

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 《 参考 》
 南堂私案における「正字にするべき文字(略字・誤字)」の一覧。
   (資料「略字&正字」の data-add.htm より抜粋)

(a)
唖逢飴溢鰯淫迂噂餌焔襖鴎迦晦葛鞄翰翫徽侠卿僅躯屑祁繋倦捲鹸諺巷麹甑榊鯖錆屡繍酋薯藷哨廠蒋醤鞘蝕逗摺蝉撰煽詮噌遜騨腿辿樽箪瀦捗槌鎚掴鄭擢溺填顛堵屠賭涜瀞遁謎灘楢禰嚢牌這秤剥箸溌醗挽樋稗逼謬廟瀕蔽瞥娩庖蓬頬鱒迄麺儲餅籾鑓愈猷莱漣煉榔兔嘲屏攅 (芦)(厩)(欝){曾訛}

(b)
鵠杓灼蛸鱈凋塘 [菟]
唳堋捩湮甄硼箙粐綛綮綟芍荵蟒褊諞鮗譁
恢梛扈邉 冤 [寃]

(c)
(祀)(臘)(隙) 〈薇〉 〈靱〉
〈噛澗祇櫛薩煎遡掻痩祷蝋荊 絣卉辻〉
〈嘘汲饗倶箭揃歎簾逞叛〉

 ※ (a) は、国語審議会の表にあり、出版物による利用頻度の高いもの。
   (b) は、国語審議会の表にないもので、出版物による利用頻度の低いもの。
   (つまり、(b) は、国語審議会の調査漏れ。)
   (c) は、文字の追加をなすべきもの。
    [一方、(a)(b) は字形の変更をすべき。]
posted by 管理人 at 20:06| Comment(3) |  文字規格 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
標題を変更しました。
  ・ 以前:「字形の変更の例外」
  ・ 現在:「字形の変更の漏れ」

 ※ 元の題は、その題名で、数日前に項目を立てていたので。これでは題名が重複してしまう。間違えちゃった。
Posted by 管理人 at 2007年02月02日 23:36
【 補足情報 】

 上記の(A)の 46字については、次の二通りに分類されるようだ。
 (i) 廻釜喰隙鍵梗叉鮫餐杖訊挺兎牌駁挽誹稗斧娩鞭爺叟咬徘狡甦竈腱艘芒虔蜃蠅靱
 (ii) 蟹灸隙牽膏楯棘橙甕祟靄

 (i) の 35字は、メイリオで字形の変更がされた文字。
 (ii) の 11字は、メイリオで字形の変更がされない文字。

 つまり、35字については、「メイリオでは字形の変更がされたが、MS明朝とMSゴシックでは字形の変更がなされなかった」というふうに、フォントごとに差があるようだ。
 なお、(i) の 35字の出典は、下記による。
http://slashdot.jp/~yasuoka/journal/389233
Posted by 管理人 at 2007年02月03日 23:17
「人名漢字に対応する正字」にも、漏れがあるようだ。それは、次の 34字のうちの一部。
   〈拐喝嫌溝遮逝栓濯棚塚扉頻泡癒慧渚梢翠琢那遼
     皓翔迪 昂 采曙黛啄巽柊耀蓮媛〉

詳しくは、「文字使用の指針1」の
   〈v〉  人名漢字に対応する正字。
を参照。

  → http://openblog.meblog.biz/article/58015.html  (文字使用の指針1)
Posted by 管理人 at 2007年02月10日 18:38
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