2007年01月28日

◆ 正字を使えるか?

 Vista で使える文字について、朝日新聞に次の趣旨の記事があった。( 2007-01-28 )
 「これまでは地名などで正字が使えなかったが、Vista 導入以降は正字が使えるようになる。たとえば、飛騨という文字は、『馬単』→『馬單』というふうに正字で表示できるようになる」
 しかし、これは最初から最後まで、全部間違っている。 ──

 この間違いは、次の二点だ。
 (1) これまでは『馬單』という正字が使えなかった。
 (2) これからは『馬單』という正字が使えるようになる。
 そのどちらも間違いである。

 (1) これまでは『馬單』という正字が使えなかった
 これまでは『馬單』という正字が使えなかった、ということはない。これまでもずっと使えてきた。その証拠に、次のファイルがある。
    → 変換表
 ここにはちゃんと『馬單』という正字が表示されている。Vista でなく WindowsXP でもそうだ。なぜならこれはもともと unicode に含まれていた文字だからだ。Vista は関係ない。
  ※ ただし、この文字は、使いやすくない。たとえば、このブログのある
    「みぶろぐ」や「Seesaa」などのブログでは、表示できない。また、
    テキストファイルやHTMLソースでも、容易に表示できない。
  ※ ただし、goo ブログや Yahoo ブログでは容易に表示できる。たとえば、
    上記の「変換表」の文字をコピーして、そのまま記事投稿をすれば、
    普通の文字と同様に扱える。(確認済み。)
    また、ワードパッドやMSワードでも、普通に使える。
 要するに、「使いやすくはないが、うまく工夫すれば何とか使える」というのが正しい。「今まで使えなかった」ということはないのだ。

 (2) これからは『馬單』という正字が使えるようになる
 これからは『馬單』という正字が使えるようになる、ということはない。上の変換表を見ればわかるとおり、この文字は unicode にもともとあった文字である。したがって、この文字は、「字形の変更」で表示できるようになったわけではない。
 たとえば、「葛」という字ならば、「字形の変更」がなされたので、これまでは表示されなかった正字が、これからは表示されるようになる。
 しかし、「騨」という文字は、「字形の変更」がなされたわけではないので、これまでもこれからも、ずっと「馬単」という略字が表示される。「馬單」という正字を表示するには、次のようにする。
  ・ これまでは、unicode で表示するしかなかった。テキストファイルでは不可。
  ・ これからは、第3水準(EFB0)の文字として、テキストファイルで表示可能。
   ※ この記述は間違いなので、次項で解説する。

 なお、これから使う場合があるとして、どう使えばいいか? 「馬單」という正字を文字コード表で探すと、(文字が変なところに孤立しているので)見つかりにくい。何らかの漢字検索ツールや、漢字変換ソフトIME を使わないと、容易には表示できないだろう。手っ取り早いのは、新しいワープロソフトを購入して、それについているIMEで漢字変換をすることだ。たとえば新しいATOKで「ひだ」「ひだし」と入力すると、ちゃんと変換されるはず。(とはいえ、それがうまく行く保証はない。最新の MS-IME 2007 ではダメでした。  (^^); )

 ──

 以上からわかるのは、何か? 次のことだ。
 (i)「字形の変更」をした文字については、何ら意識することなく、従来通りの方法をやるだけで、自動的に正字を使うことができるようになる。たとえば「葛」という文字も、自動的に正字に変更される。(最初に 2004JIS のフォントを入れれば、あとは何もしなくてい。)
 (ii) 「字形の変更」をしない文字については、いくらか面倒な手続きが必要になる。文字を出すには新しいIMEを購入する必要がありそうだし、また、一部のブログなどでは、その文字が表示されずにすっかり消失してしまう。たとえば、本サイトのブログで「飛騨市」を正字で書くと、投稿欄には該当文字が表示されるのだが、アップロードすると「飛市」というふうに該当文字が消えてしまう。

 つまり、「字形の変更」をした文字はすべて問題ないのだが、「字形の変更」をしない文字(前項の39字)については普通に使えない。

 というわけで、「字形の変更」というのは、非常に便利な方法なのだ。この方法をやったおかげで、特に意識せずに、たいていの文字については正字を使えるようになる。
 しかし、一部の文字については、残念ながら、「字形の変更」ができなかった。そのせいで、これらの文字については、面倒な手続きが必要となる。

 実例を挙げると、「溢」ならば、「字形の変更」をしたので、容易に正字を使える。しかし、「鴎」や「剥」や「頬」などならば、「字形の変更」をしないので、これらの文字の正字を使うには、何らかの手続きを新たにする必要がある。

 ──

 「字形の変更」って、本当に便利ですね。なのに、「字形の変更なんかダメだ」と、多くの文字コード関係者は言っていたのだ。彼らの都合(規格上の都合 = 文字コード表をきれいにしたいという内部関係者だけの都合)を優先して、国民に多大な負担をかけさせようとしていたのだ。
 私としても、「字形の変更」を唱えたおかげで、これからは自分自身が恩恵を受け取れる。私としても、唱えた甲斐はあったことになる。世間からは肯定的に評価されなくても、私自身が便利になったのだから、それで良しとしよう。
( ※ 「おまえの個人的な都合で字形の変更をされてしまった!」と、多くの略字主義者は歯ぎしりをするだろうが。)
posted by 管理人 at 10:00| Comment(3) |  文字規格 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
【 管理人の 追記 】

 本項は前項の続きである。
 何が正しいか、ということは前項に記してある。
 何が間違っているか、ということは本項に記してある。

 正しいこと(40字の例外があること)をわきまえておけば、問題がない。
 なのに、それをわきまえないと、例外を例外として理解できなくなる。その誤りが、朝日の記事の誤りだ。ここでは、例外に含まれる「騨」という文字について、例外ではないと思い込んでいる。

 標準と例外があるのだ、という区別をつけることが大切だ。──それを示しているのが、前項と本項だ。
Posted by 管理人 at 2007年01月29日 10:53
テキストファイルなどで容易に表示ができなかった正字が簡単に表示できるようになるのであれば,とりあげた新聞記事は別段噛み付くほどのことでは無いように思われるのですが・・・。
文字コードについて遺恨?のある管理人さんと私との認識の相違でしょうか。
Posted by 良寛 at 2007年01月30日 19:20
> テキストファイルなどで容易に表示ができなかった正字が簡単に表示できるようになるのであれば

 「……であれば」ということですが、実際には「……ではない」となります。

 この件は、明日、説明します。
Posted by 管理人 at 2007年01月30日 19:54
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