2006年11月01日

◆ 読書の色メガネ


 科学技術関係の書籍または論文を読むときには、どういう立場で読むべきか? 批判的に読むべきか? 肯定的に読むべきか? 
 大切なのは、「色メガネをかけて読まない」ということだ。虚心に素直に読むのが一番いい。 ──

 通常は、「批判的に読むといい」「頭を働かせながら読むといい」と言われる。しかしながら、よく知っている分野の話ならともかく、自分のよく知らない初めての分野であれば、先入見なしに読む方が、ずっと能率的である。

 一般に、初めての分野の理論を読むときは、「自分の疑問を解決してもらいたい」というふうに自分の視点から読むのはやめた方がいいだろう。むしろ、「この著者は何を言おうとしているのか」というふうに考えて、著者の視点から読む方がいいだろう。
 さもないと、著者の言おうとしていることを、理解できなくなる。自己流の色メガネがかかっているせいで、自分の読みたいことばかりを読んで、著者の述べていることを読み落としてしまう。それでは、読んでも、読んだことにならない。時間の無駄だ。
 こういうことを理解しておくと、他人の文章を読むときの能率が上がるだろう。

 「相手の文章を読むのは、ケチををつけるためだ」
 というアラ探しをする人もいる。しかしそういうのは、この世で一番非能率で非生産的な読み方だ。
 ネットにはこの種のアラ探しに熱中する人々がわんさといる。よほど欲求不満なのだろう。彼らは、他人を傷つけているつもりだが、実際には、自分自身を傷つけているのだ。

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 【 追記 】
 以上のことから、次のように言えるだろう。
 「ネット情報を得るよりは、本を買う方がいい」

 その理由は、こうだ。
 「ネット情報は無料なので、疑いながら読むので、身につかない。本は有料なので、払っただけの金の分の情報を得ようとするので、身につく」

 以下、具体的な例を示す。(いちいち読まなくてもいいが。)

 【 例 】
 例示しよう。ネットで南堂の話を見たあと、「無料公開されている話なんて、一円の価値もないものだし、信じがたい」と思って読む。すると、頭に情報が素直に入らない(色メガネがかかる)ので、曲解と誤読を繰り返して、結局は時間の無駄になる。
 たとえば、「クラス進化論は、既存の進化論を否定している」と勝手に思い込んだすえ、「既存の進化論を理解もしないで批判している」というふうに非難する。(典型的な誤読)

 一方、金を出して本を買えば、「これは何らかの有用な情報を出しているのだな」と思いながら読む。すると、その有用な部分を吸収しようとするので、しっかり読んで理解する。
 たとえば、グールドの本を買えば、「これは断続進化説(断続平衡説)という新しい説を提出しているのだな」と思うので、その説をちゃんと理解する。

 というわけで、同じような意見(断続進化)を見出しても、「南堂の説(無料)は信じない」と思って、ろくに読まずに否定するが、「グールドの説(有料)は、ちゃんと読んで理解する。
 つまり、金を出さないと時間を無駄にするだけだが、金を出すと時間を無駄にしない。ケチであれば損をするし、身銭を切ると得をする、というわけ。

 教訓。
 《 ケチな奴ほど、損をする。 》

 どうです? 思い当たること、ありませんか?
posted by 管理人 at 19:48| Comment(1) | 科学トピック | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
後半に 【 追記 】 が加筆されています。
Posted by 管理人 at 2006年11月02日 09:10
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