2006年10月29日

◆ ロボットスーツ?

 筑波大のロボットスーツが来年にも実用化される、という記事があった。
日経 http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=AS1D22009%2022102006
読売 http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20061029i402.htm?from=main4

 また、六月の記事だが、トヨタのロボットスーツ開発という記事もある。
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20135867,00.htm

 しかし、このような機器は、ロボットスーツと呼ぶべきではない。 ──

 これらの機器は、正しくは「パワード・スーツ」(パワー・スーツ)もしくは「パワー・アシスト・スーツ」と呼ぶべきものである。その意義は、パワー・アシストをすることである。詳しくは、記事を参照。
 また、筑波大の本家のサイトもある。
http://sanlab.kz.tsukuba.ac.jp/HAL/index.html

 一方、ロボットスーツとは、何か? ガンダムのようなものだ。昔流に言えば、鉄人28号の頭に操縦者が格納されているタイプだ。

 両者の違いは、何か? ロボットとしての手足があるか否かだ。

  ・ ロボットスーツ  …… ロボットとしての手足がある (ガンダムタイプ)
  ・ パワードスーツ …… ロボットとしての手足がない (上記記事のタイプ)

 上記記事のタイプは、ロボットとしての手足がない。人間の手足をそのまま使う。ただ、人間の手足を助力する支持器具があって、その支持器具に力が入る。

 両者の差は、手や足を失った障害者を考えればわかる。手や足を失った障害者は、パワードスーツを着用しても、(動かすべき手足がないので)何もできない。しかし、ロボットスーツを着れば、(機械の手足があるので)通常の作業が一応できる。たとえば、機械の手によってコップをつかんだり、機械の足によって歩いたり。

 この意味で、ロボットスーツとパワードスーツは異なる。
 パワードスーツは、メガネや松葉杖などの延長上にあるもので、ただの道具である。高度なIT的な道具であるというだけのことだ。
 ロボットスーツは、人間の肉体に代替するものであり、ただの道具ではない。人間の一部に置き換わるものだ。一部でなく全体を置き換えてしまえば、ロボットとなる。アトムのようなものだ。

 パワードスーツは、見た感じでは手や足に似たものがついている(記事の写真を参照)ので、ロボットスーツと同じようなものだと思われがちだ。しかし、その手や足に似たものは、あくまで支持器すぎないのであって、手や足の代替となるものではない。この両者は似て非なるものだ。

 パワードスーツをロボットスーツと呼ぶのは不適切である。両者ははっきりと区別されるべきものだ。
 端的に言えば、パワードスーツは、人間の意識の統制下にある限り、ただの補助機器にすぎないので、何ら規制は必要ない。誰もが好き勝手に使ってよい。一方、ロボットスーツは、たとえ人間の意識化にあっても、ただの補助機器を越えた存在となる。そんなものを勝手に使わせるべきではなく、社会的な規制が必要だ。
 たとえば、誰かがガンダムみたいなものを操作して、歩道や車道を歩いたり走ったりすることは、(ぶつけられた人がケガをするので)社会的に許容されない。自動車に免許が必要なように、ガンダムにも免許が必要だ。
 実を言えば、自動車というのは、「変形されたロボットスーツ」と言えなくもない。四本の四肢のかわりに、四本のタイヤを備えている。これは「異形の手足だ」と見なせなくもない。こういうものは、ちょっと操作を間違うと、容易に人を殺す。いくら便利であっても、人を殺すようなものには、規制が必要だ。

 ロボットスーととパワードスーツは、はっきりと区別される必要がある。ここでは、「技術の進歩は社会にとって害悪となる面もある」という意識の有無が問題となる。
 「便利だ、便利だ」と喜んでいると、新技術が人を殺すことも生じるのだ。そういう負の面を理解することこそ、新しい時代の先進的な技術者にとっては必要なことなのである。

 結論。
 「ロボットスーツはカッコいい」と喜ぶのは、小学生と馬鹿記者だけでいい。賢明な大人は、そういうふうにはしゃぐべきではない。


[ 余談 ]
 「ロボット基本法」のようなものが必要かもしれない。
 第1条。ロボットは人を傷つけてはならない。
 第2条。人と傷つける可能性のあるロボットは、安全性が担保されない限り、人間のいる領域に出てはいけない。(事故現場や地球外ならば、人間がいないので、許容されるが。)
 第3条。ロボットは、人間を傷つける可能性が生じたときには、ただちに停止しなくてはならない。
 第4条。ロボットは、急停止することで人間に危害を及ぼすほどの高速では、移動してはならない。(車道のような特別な領域は別として。)
 第5条。ロボットの表面(外装)は、原則として、硬い金属やプラスチックではなく、柔らかな材質を用いるべきである。

 ※ 全般的には、自動車と同様の規制が必要だ。


  【 参考 】
 同趣旨ないし関連記事

   → 泉の波立ち (3月28日)
   → 泉の波立ち (9月26日)
   → 泉の波立ち (11月03日)
posted by 管理人 at 14:38| コンピュータ_01 | 更新情報をチェックする
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