google の Web 版オフィスが公開された。
MSワードやエクセルと同種のものがネット上で無償で使える、という触れ込み。
→ http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20268007,00.htm
さっそく、試してみた。では、その使い勝手は? ──
各種記事によると、次のようなものらしい。
(1)「MSワードやエクセルと同種のものがネット上で無償で使える」
(2)「ファイルはパソコンに保存できない」
では、本当にそうか?
まず、次の画像を見てほしい。(クリックして拡大。)

(2) の点は、問題ない。Word や HTML 形式で出力できる。つまり、形式を普通の文書形式に変更すれば、パソコンに保存できる。
実際、保存した文書を、次にサンプルとして示す。
→ google02.doc
(1) の点は、ひどく問題がある。
「MSワードやエクセルと同種のもの」
なんていうのは、嘘八百である。実は、このワープロは、ただの「HTMLエディタ」であるにすぎない。Seesaa などのブログでは、ブログ上で書式つきのHTMLを作成するために、「リッチテキストエディタ」という機能が Ajax 機能で使える。それと同じもの(もうちょっと高機能のもの)が、google で使える。
ただし、あくまで、HTMLエディタであるにすぎない。ワープロではない。間違えないように。エディタの一種である。
たとえば、次のことができない。
・ 表示の設定(文字サイズなどの設定)
・ フォントの設定(ゴシック体などのフォント)
・ 左端に全角空白を入れること。(入れても、自動的に消去されてしまう。)
どこからどこまで、HTMLエディタである。普通のワープロとはまったく異なる。発想がHTMLエディタだから、使い勝手はまったく異なる。
できることはといえば、おおまかには、
「文字サイズの変更ができます」
「文字色の変更ができます」
「インデントや、箇条書きができます」
それだけ。オモチャみたいなものだ。
ワープロとしても見れば、はっきり言って、Windows のオマケであるワードパッドよりも劣る。
ま、ネット上のオモチャだと思った方がいい。実用品ではない。
また、よく考えると、フォントの設定など、HTMLエディタにはとうてい無理だろうから、いつまでたってもワープロとしては使い道がないかもしれない。
私としては、「ワープロとしてなら、ワードパッドを使う方が百倍いい」と断言しておきます。
表計算の方は試していないが、この分だと、次のように言えそうだ。
・ 個人なら、表計算ソフトを使うことがもともとほとんどない。
どうしても使うなら、OpenOffice の方がいい。
ただの計算なら、電卓を使えばいい。
・ 企業なら、まともな表計算ソフトを使うのでないと、仕事にならない。
せいぜい、ネット上で共同作業をするのに便利、というぐらい。
ただし能率は大幅に低下するはず。やめた方が無難。
──
以上は、少なくとも、現状での評価だ。
ただしこれが大幅に改善したとしても、まともなものになるとは、とうてい思えない。
Web 2.0 時代だ、という触れ込みで、「ネット上でオフィス・ソフトを使える」と大騒ぎしている人々が多いが、とんでもない詐欺的な文句だ、と言える。
なるほど、レスポンスなら、問題はない。特に遅いということはない。しかし、「HTMLベース」というのが、根源的に駄目だ。基盤が狂っているのだから、どうしようもない。
はっきりしているのは、「普通の文書作成には向かないが、HTML作成になら向く」ということだ。とはいえ、HTML文書作成にしても、普通のまともなHTMLエディタの方が、ずっといいですね。
結論。
google の失敗作。少なくとも、日本語の文書作成ソフトとしては。
──
【 追記 】
(1)
上の画像には出ていないが、編集画面では、文字の色や書式を変更するツールバーが現れる。
(2)
フォントの変更はできる。たとえば1バイトの Arial というフォントに変更できる。
ただし、2バイトの日本語フォントに変更することはできない。もちろん、ゴシック体と明朝体との変更は不可。
また、最初の「設定」において、デフォルトで文字の表示設定をすることはできない。たとえば「文字が小さな」と思ったら、いちいち拡大の操作が必要だ。
また、フォントサイズの設定にしても、ごくおおざっぱな設定があるだけで、細かな設定はとうていできない。あくまでHTML文書の作成であって、ワープロではない。そう理解しておこう。
(3)
十分かそこら操作しないでおくと、自動的に遮断されてしまった。あらためて文書画面に戻るには、「文書の目次」から該当の文書を探し出さなくてはならない。
たとえば、「請求書」という文書を作成して、しばらく休んでいると、その分書が画面上から消えてしまう。仕方ないので、あらためて目次を呼び出し、目次から「請求書」という文書を呼び出し、該当の箇所までカーソルを移動させる。
通常のソフトは、「何もしないでおく」ということが可能だが、今回のソフトは「何もしないでおく」ということが不可能だ。余計な作業をしてしまうのである。(負荷を減らすためだろう。)
(4)
ファイルを開くには、文書画面から「ファイル」の項目で開くことはできず、いちいち目次画面に戻って、「Upload」を選択しなくてはならない。
で、実行したら、HTMLファイルが文字化けしてしまった。Shift-Jis であるせいだと思う。(unicode でないと駄目らしい。未確認。)
(5)
仕方なく、そのHTMLファイルをMS-Word形式に変換してからアップロードしたら、いつまでたってもアップロードが終わらない。最後には「502 Server Error」という表示が出ておしまい。
結局、既存の文書を開くことはできないわけ。
使い物にならないですね。
──
【 注記 】
使い物にならないどころではなかった。ひどい弊害がある。
このWeb機能を使うには、google のアカウントを取る必要があるが、そのせいで、個人情報が漏れる。
どこに漏れるかというと、他者に漏れるのではなくて、google の他の機能に漏れる。具体的には、google ニュースなど。そこに、google 製の勝手な広告ニュースが掲載される。具体的には、次のような広告ニュース。
メール・クライアント「Eudora」将来は無償化,Mozilla技術を採用つまり、「お得な機能を提供するのだから、googleの広告をたくさん掲載させよ」というわけだ。とんでもないことだ。余計な広告を、今までは見ていなかったのに、今度はみるハメになる。大損だ。
ITpro - 17時間前 - 米QUALCOMMと米Mozilla Foundationは米国時間10月11日,電子メール・クライアントの開発に関 ...
MYCOMジャーナル - Open Tech Press - BCNランキング
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結論。
「使わっても役立たない」のではなくて、「使うとひどい目に遭う」というのが正しい。
──
後日注記。
広告が表示されるという問題は、解決法があった。ニュース画面上で「ログアウト」にすることで、個人認証がなくなり、広告は表示されなくなる。
とはいえ、気を遣うだけ、面倒だ。どうせ無駄なサービスなんか使わないなら、google のアカウントなんか取らない方がいいですね。
(1)個人情報について
適当にwebメールのアドレスを取得すればOKです。
迷惑メールを送りつけてくるようなWebメールアドレス(○フーとか×ットメールとか
(2)グループで作業している場合に作業項目およびスケジュールを共有して変更・追加・実績登録などを行う(WBS管理)
これを通常のスプレッドシートでやってみればわかります。
googleスプレッドのすばらしさが
もっとも管理する情報に機密性がある場合はやめておいたほうがいいことは確かです。