2006年09月10日

◆ 500円DVD


街中を歩いていたら、薬局の店頭で「500円DVD」というのを見つけたので、購入した。非常に良い商品だったので、感銘した。みなさんにもお勧めしたい。──

 DVD の映画なんて、今まで借りることも買うこともなかった。そもそもテレビも見なかった。忙しくて、暇もなかったので。最近、ちょっと暇もできたので、ちょっと買ってみたわけだ。

 で、まずは画質の点で言うと、VHS やテレビに比べて、圧倒的に高品質ですね。一般の映画館の画質と同程度に見える。画質の点では、文句ありません。
 ただ、これは、一般の人には当てはまらないかもしれない。というのは、私はCRT画面で見たから。一方、普通のパソコン用の液晶モニタだと、画質は大幅に低下する。ま、映画もきれいに見えるハードがあれば画質は問題ない、といえるでしょう。

──

 肝心なのは、画質ではなくて、中身。芸術的な評価。
 今回、私が買ったタイトルは、次の二つ。

(1) ノートルダムのせむし男 (2時間弱)
(2) 風と共に去りぬ (4時間弱)

その理由は:
(1) は、まだ見たことがなかったので。たいていの名画は若いころに見尽くしたが、この作品は見たことがなかった。名作だと言われている割にはチャンスを逸した……と思ったが、そうではなくて、もともと上映されなかったのだろう。というのは、身体障害者を扱っているので、近年は上映が難しいからだ。で、ようやく見たわけだ。その評価は? まあ、白黒映画の名画の水準に達している、と言えるだけです。大傑作というほどではない。見落としたものを見ることができた、というぐらいの評価。

(2) は、若いころに3回ぐらい見たが、今回は年を食って久しぶりに見たわけだ。で、あらためて見直して、若いころには気が付かなかったことにたくさん気が付いた。

 まずは、「絵」がとてもきれいだ。背景の自然風景など、実にすばらしい。テクニック的には、合成画像なども利用していて、当時の最先端の方式を使っている。で、その効果は、技術的なすばらしさではなくて、芸術的なすばらしさになっている。……こう言うのに比べると、最近のCGは、技術的な傾向ばかりが高くて、芸術的な傾向はペケに近い。どんなにすばらしいCGも、風と共に去りぬの芸術的な「絵」に比べると、圧倒的に劣りますね。芸術のプロとアマの差かな。油絵芸術家と似顔絵画家の差ぐらいある。

 物語もすばらしい。若いころには、スカーレットが魅力的で、メラニーなんか詰まらない、と思っていたが、年を取ってから見ると、メラニーの魅力がよくわかる。なるほど、アシュレーはたしかにメラニーを選ぶはずだ。私だって彼の立場なら、そうしただろう。そのことに気づいたのが、今回の再見の最大意義だ。
 若いころには、性的な魅力ばかりに気を取られるが、年を取ると、人間的な魅力というのがよくわかるようになる。人間というのは成長するものですね。
 その点、若い女性に対して、「かわいければそれでいい」なんて思っている萌えマニアは、「人間とは何か」「人間性とはどういうものか」をよく理解するためにも、「風と共に去りぬ」を何度も見るといいですよ。たぶん、わからないところ(女性心理)がたくさん出てくるから、じっくり考えるといい。

 私も、この映画を見た若いころには、スカーレットの行動もメラニーの行動もよくわからなかったし、アシュレーの選択もよくわからなかったし、レット・バトラーの最後の行動もよくわからなかった。……しかし、そのすべては、スカーレットに視点を置くことで、納得できるようになる。

 結局、この映画は、男の立場から見るべきものではなくて、女(スカーレット)の立場から見るべきものなのだ。そして、主題は、恋愛のもつれなんかではなくて、「人間の魂の成長」である。ちやほやされるだけのお嬢様だったスカーレットが、いかにして苦難や絶望と出会って成長していくか、という物語なのだ。
 ここで、「成長」というのは、必ずしも「向上」という意味ではなくて、「人生経験を積む」というような意味である。初めは世間の荒波に揉まれたことのなかった箱入り娘が、世間の荒波に揉まれながら、いかに力強く生きていくか。そういう物語なのだ。
 実際、この物語の作者は、女性作家である。

 この映画は、女性の立場から見れば、「なるほど」と素直に納得できるはずだ。一方、男性の立場から見れば、「こいつもあいつも、やることが納得できん」というふうに感じられるはずだ。その問題は、自分をスカーレットの立場に重ねることで、解消する。そして、そうできるためには、女性の気持ちをよく理解できるようになっていなくてはならない。
 
 女性をただのオモチャやフィギュアや画像のように扱って、「かわいければいいや」なんて思うようだと、女性というものをいつまでも理解できないままだろう。それでは永遠の幼児となるだけだ。年を食った幼児。不気味ですね。

 しかしまあ、この映画を見て、私も若いころ(十代の終わりのころ)には、いかに人生や女性に無知であったかを、痛感させられた。あのころの私は未熟で馬鹿で無知でした。「スカーレットは美人で勝ち気で力強くて素敵だ」と思うなんて、馬鹿丸出しでした。これじゃ、「涼宮ハルヒは素敵だ」と思う馬鹿と同じですね。
 昔の私はほとんどオタク並みだったな。反省。

( ※ でもまあ、若いころには、勝ち気な超美人に振り回されるのが楽しいものですけどね。  (^^); )

 ──

 一般に、昔の名画というのは、いいですね。500円ビデオの多くは、若いころに見尽くしたが、こうしてタイトルを見ると、懐かしい。
 ひるがえって、1970年代以降の映画は、索漠としますねえ。暴力とセックスばかりがあふれていて、何とも底が浅い。人間の粗暴な欲望があからさまに表現されるばかりで、人間の精神の深みは表現されない。
 涙を流すとしても、「可哀想」と思って同情の涙を流すぐらいで、感動の涙を流すことはない。昔の名画を見たときなら、深い魂の震えとともに、涙を流すのだが。(風と共に去りぬにはそういう場面がいくつかある。)

 「風と共に去りぬ」って、4時間で500円。超お買い得。
 これと比べると、電気店の店頭で見たファイナルファンタジーの画像なんて、いくらきれいでも、しょせんはお子様ランチにすぎない。ガキ向けの幼稚画像。見る人の精神年齢からして全然違いますね。
 ま、精神年齢の低い、発達障害のような人なら、ファイナルファンタジーの画像を見て、「すばらしくきれいな画像だなあ」と思っていればいいでしょう。ガキにはガキ向けの画像を。猿には猿向けの画像を。

 ──

Q 500円ビデオは、どこで入手できるか? 
A いろいろなところで売っています。
 街中なら、本屋や、CD屋(レコード屋)や、レンタルビデオ店。
 ネットでも HMV などで割引で売っている。
posted by 管理人 at 00:15 | Comment(3) | コンピュータ_01 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
欠点としては、それはたぶん映画メーカーが出しているDVD
ではないと思うんで、画質が絶対に落ちているってことですね。
Posted by hojihoji at 2006年09月10日 09:54
画質は申し分なくきれいでした。映画館で見たときと比べても遜色はなかった。

最新版の違法コピーである海賊版は画質が落ちますが、500円DVD は著作権が切れた50年以上前のものですから、違法な海賊版ではありません。

ま、最近の映画に比べれば時代の違いゆえの問題はありますが、特に画質は問題ないですよ。すくなくとも、あちこちでデモをやっているファイナルファンタジーなんかより、はるかに芸術的で美しい画像です。
CGってのは、階調がひどく低いので、画質はどれもひどいものです。
ファイナルファンタジーの初期の画質を見ると、あまりにも低い画質に愕然とすると思いますが、今のファイナルファンタジーだって、500円のカラー映画に比べれば圧倒的に劣ります。(ただし、白黒よりは画質は上ですね。)
Posted by 管理人 at 2006年09月10日 12:04
100円CDにすばらしい音源(しかも他で出ていない)が使われているという例と同様に、500円だから画質が悪いとはいいきれないですね。
Posted by itochan at 2006年09月13日 03:38
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