2006年08月25日

◆ 冥王星の位置づけ


 冥王星が、「(9番目の)惑星」の位置づけを離れて、「矮惑星」dwarf planet と見なされることになった。 ──
 言葉で言うと、dwarf planet は、直訳すれば「矮小惑星」。しかし「小惑星」と訳される asteroid とは異なる。

 冥王星の位置づけについては、前に述べたことがある。丸ごと引用すれば、次の通り。
 「太陽系に第十惑星」という記事がデカデカと出ているが、こういうふうに世間を惑わす記事はやめてもらいたいものですね。「惑星であるかどうか、異説がある」と述べるだけでなく、なぜ「惑星でない」とされるか、そこを解説するべきだ。
 だから新聞社の書いた記事にすら、誤解が出てくる。
 「この太陽系が何人きょうだいなのか、いささか気になる。」(朝日・天声人語 2005-08-02 )
 兄弟の数なら、はっきりしている。8だ。つまり、第9惑星とされる冥王星は、他の8個の惑星の兄弟ではない。他の8個の惑星は、太陽系内で生まれたが、冥王星は、太陽系外のカイパーベルト帯で生まれて、途中で太陽系内にまぎれこんだものであり、いわゆる小惑星の仲間である。冥王星および第十惑星が誰の兄弟かといえば、たくさんある小惑星の兄弟である。
 たとえて言おう。太陽家とカイパー家の二つがあり、それぞれたくさんの子供がいたが、カイパー家の子供の一人が、自宅を飛び出して、太陽家に住み着いている。この家でした子供を、「太陽家の家族」と呼ぶかどうかは、定義しだいだが、誰の兄弟かと言えば、もちろんカイパー家の子供たちの兄弟である。

 こういう事情をちゃんと解説しないと、新聞社は世の中に、誤解を垂れ流すことになる。困ったものだ。
 真実を報道せず、虚偽ばかりを報道する。「面白くなければ、記事じゃない」というわけですかね。吉本ふう。
( → 「小泉の波立ち」 2005年8月03日

    ────────────

 「太陽系の第十惑星」について。
 少し前に話題になった「太陽系の第十惑星」について、朝日の記事が続報を示している。ただの解説だが。(夕刊・科学面 2005-08-19 )
 この件については、私も前に述べたことがある。( 8月03日 )……が、それはそれとして、新たな見解を示しておこう。
 「この新天体は、惑星か否か」
 これが論争となっている。「惑星だ」「いや、小惑星だ」という意見が、侃侃諤諤。ただし、論争では、白黒の決着がつかない。なぜなら、土俵が違うからだ。
  「惑星だ」   …… 大きさで決める。見かけで決める。
  「惑星じゃない」…… 出自で決める。由来で決める。
 評価基準が違うから、決着はつかない。

 で、私の新たな見解は、こうだ。
 「惑星かどうかは、ただの言葉の定義の問題だから、科学の問題ではなくて、言葉の問題にすぎない。ゆえに、論争しても、無意味」
 その上で、こう提案しよう。
 「この新天体には、惑星でもなく小惑星でもなく、『準惑星』という名称を与える」
 つまり、「白か黒か」という論争で決着がつかないときに、「灰色だ」という新たな選択肢を与える。
 どうです? いいアイデアでしょう? これで、天文学者の不毛な論争が片付く。まったく、何一つ発見をもたらさないような、言葉の使い方の論議など、ほとんど無意味である。不毛
( → 「小泉の波立ち」 2005年8月03日


 最後の文章の後には、次のジョークが続く。
 「ついでに言えば、たいていの惑星は、不毛です。緑豊かなのは、地球だけ。……ただし、それも、温暖化で破滅するまでの話だが。」

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 さて。以上の話は、過去に書いたものだが、新たに次のことを付け加えておこう。

 ここ数日の、新聞の騒ぎは、まったくもって、みっともなかった。ここに着目しよう。
 まずは、
 「惑星の数は12になるぞ。新たに三つの星が惑星になります」
 と大騒ぎ。と思ったら、数日後に一転して、
 「惑星の数は8になります。冥王星は惑星でなくなります」
 だって。
 前言をコロリとひるがえす。これじゃ、「新聞の報道なんて信用ならない」という不信を高めるだけだ。
 新聞のなすべきことは、何か? 次のことだ。

 (1) 分類
 今回の問題は、あくまで、ただの分類にすぎない。
 「冥王星が惑星になるかならないか」
 というような問題ではない。冥王星は何ら変わらない。冥王星が塵になったり超新星になったりするわけではない。そういうこと(冥王星自身が変わること)ではなくて、冥王星に付ける名前が変わるだけだ。つまり、分類が変わるだけだ。
 くだらない虚偽の報道をしないでほしいね。
 「冥王星自身は何も変わらない」
 とわきまえて、「惑星でなくなる」というような表現は禁じるべきだ。

 (2) 出自
 冥王星の分類が「惑星とは別の分類になる」ということについては、その理由をはっきり述べるべきだ。その核心は、「カイパーベルト帯に発生するもの」ということであって、「出自が異なる」ということだ。(この件は、本項の前半で示したとおり。)
 この核心を示さないと、記事として報道の意味がはっきりしなくなる。「どうして?」という読者の問いに答えていない。

 (3) 本質
 カイパーベルト帯に生じた惑星ふうのものは、なぜ、惑星の名に値しないのか? その本質を示そう。
 これらのものは、主として氷と塵でできている。この点が決定的に重要だ。というのは、次の二点による。

 第一に、氷の成分である水は、とても軽い。一方、惑星の主成分である鉄やマンガンは、とても重い。これらは、その重みゆえ、重力で引かれて、自律的に形成された。まさしく星である。
 水は軽いので、重力で引かれることはほとんどない。では、なぜ、冥王星などは星になったか? たがいに衝突し合って、デカくなっただけだ。その点では、土星の輪のなかの氷に似ている。土星の輪の主成分は、氷の粒だが、それがときどきぶつかって、だんだん大きな粒になっていく。さらに長い時間がたつと、もっと大きくなりそうだ。
 要するに、冥王星などのカイパーベルト帯のものや、火星と木星のあいだの小惑星などは、土星の輪のようなものなのである。だから、実際、土星の輪と同じように、氷の粒ががたくさんあるし、どんどんぶつかりあって大きくなっていく。
 というわけで、これらのものは、星というよりは、デカい固まりであるにすぎない。

 第二に、氷というものは、熱で蒸発しやすい。たとえば彗星がそうだが、太陽に近づくと蒸発して水蒸気になってしまう。水蒸気の固まりなんて、星と呼ぶには値しない。
 というわけで、氷でできたデカい固まりは、星と呼ぶには値しないのだ。
 比喩的に言うと、氷山は「山」というに値しない。氷山なんて、熱帯までタグボートで運べば、溶けて海に消えてしまう。そのなものを地形の一部である「山」と見なすには値しない。氷山はあくまで「デカい氷の固まり」であって、山と同様のものではないのだ。実際、南極では大陸から大きな氷が落ちて、次々と氷山ができていく。北極では、温暖化のせいで、次々と氷山が溶けていく。こんなものを独立した物体と見なすのは、馬鹿げている。

 以上が、本質だ。
 もちろん、これは、私だけの見解ではなくて、天文学者にとっては自明なことだ。とはいえ、多くの天文学者は、いちいち説明なんかしない。で、新聞社も、いちいち説明しない。
 というわけで、マスコミは、「惑星の数が12だ、8だ」というふうに、下らないことばかりを報道しているのである。特に、「米国の気分が良いか悪いか」という下らないご機嫌伺いばかりをやっている。
 日本のマスコミにとって、真実なんかどうでもいいのだ。

  【 追記 】
 参考サイト
http://kotonoha.main.jp/2004/03/16sedna-2003VB12.html

 引用論文は、ある天文学者による見解。いろいろと専門知識が開示されている。
posted by 管理人 at 20:11 | Comment(6) | 物理・天文 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
http://2ch-blog.seesaa.net/article/22721331.html
http://nantara.seesaa.net/article/22719866.html


冥王星「あたいみたいなのが惑星なわけないよね……はは……」
海王星「冥王星…」

冥王星「あたい…皆に覚えてもらえてうれしかった…」
冥王星「でも…もう忘れられちゃうかな…」


みんなが楽しそうにあの人の周りを回ってるの見て、いいなぁって思ってた。
ここはとても寒くて、でも私はこんなだし、でも…さびしくて。
いつのまにか、こっそり私も回ってた。みんなみたいにうまくいかなかったけど。

見つかっちゃった時は少し恥ずかしかった。でも、うれしかった…
みんなが私に気づいてくれた。ここは寒いけど…もう寒くなかった。
私はもう、一人じゃないんだって。そう思えた。
でも…やっぱりいけない事だった。みんな今まで騙してゴメンね。やっぱり私には資格がなかった。

今まで私を仲間にしてくれて、ありがとう。
みんなにたくさんのあったかい思い出をもらったから、私はそれで十分です。

どうか、私が勝手に回ることをゆるしてください。
うまく回れるように、今も頑張っています。
そうしたら、もしかしたら、また…
それは絶対にない。頭ではわかってる。でも、そうせずにはいられない私を、どうかゆるしてください。
Posted by アステリスク at 2006年08月25日 20:50
みなさん、ずっと騙してごめんね。
僕もどれほど本当のことを打ち明けたかったことか。本当はこの家の子じゃないって。
だけど、僕をこの家の子だと発見したのが、あのジョン叔父さんだから、どうしても無理だったんだ。ジョン叔父さんに逆らうと、みんなひどい目に遭うからね。
だから僕もみんなのためを思って、本当のことを言えなかった。

でも、それが結局、みんなを傷つけてしまったんだね。ごめんね。
本当のことを言えなかったのは、僕が悪いんだ。みんな僕が悪いんだ。
この家の子のフリをして。……

僕は自分を罰するため、これから遠くに離れていきます。僕の罪を咎めないでください。もうずいぶん傷ついたんですから。

さようなら。これまで、騙されていると疑いながらも、僕と仲良くしてくれてありがとう。その思い出を胸に、遠く去ります。もう決して探さないでください。
Posted by 管理人 at 2006年08月25日 21:20
(3) 本質の(1),(2)ですが
木星は水より軽い
どんな物質でも温度をあげれば気化する
と思うのですが。

木星サイズの氷の塊が太陽をまわってたら惑星なのでしょうか。
Posted by can't read air at 2006年08月27日 09:33
翌日分と翌々日分をご覧ください。そこにだいたい説明してあります。

たとえば、
> 木星サイズの氷の塊が太陽をまわってたら惑星なのでしょうか。

は、「水の惑星」として説明されています。氷じゃなくて、水ですね。
これが、太陽系の形成時の、真の惑星。

一方、外部からまぎれこんだなら、たとえサイズがどんなに巨大だとしても、惑星(太陽系という家の子)ではありません。それは「よその家の子」です。

ただし、現実には、「木星サイズの氷の塊が太陽をまわってたら」というのは、まず、ありえませんね。
冥王星よりも少し大きい程度の氷の固まりなら、十分にありえます。その一例がいわゆる第十惑星。
Posted by 管理人 at 2006年08月27日 09:46
二つ前の質問についてお答えします。(一つ前ではちょっと不親切だったので。)

太陽系の中心に近いものは、岩石や金属などの固体惑星です。
太陽系の外側のあたりのものは、ガス惑星です。
(次項「小惑星の起源」を参照。)

ガス惑星が惑星となるためには、ガスが重力で集積するために、大量のガスが必要です。一定量よりも少ないと、ガスが拡散してしまいます。

冥王星の質量は、この一定量を満たしません。冥王星の全体が水蒸気であったとすると、拡散してしまうはずなのです。
現実には、拡散しません。なぜなら、氷になっているからです。とはいえ、これは、固体だからこそ、凝集しているわけです。仮に冥王星が太陽に近づいたなら、気化して、惑星としては消失してしまうでしょう。いったん気化したあと、バラバラの氷の粒となり、それが長い時間をかけて、少しずつ凝集していくことになります。……これは、「惑星の解体と再誕生」のようなものです。立派な惑星とは異なります。

他の惑星なら、そういうことはありません。岩石惑星なら気化することはないし、ガス惑星ならホット・ジュピターになります。(「近接惑星」の項を参照。)

冥王星はあくまで、「デカい氷の固まり」なのです。規模がデカいので、重力で形が潰れて、球形になっただけです。惑星らしい形をしていますが、しょせんは氷の固まりに過ぎません。
Posted by 管理人 at 2006年08月29日 00:52
冥王星の位置づけは先に決まったが、その和名は「準惑星」に決まった。
   → ニュース検索を参照。

 なお、本項の本文で示すように、このことは私がずっと前に示してある。本文の
   「小泉の波立ち」 2005年8月03日
 の箇所だ。そこに「冥王星の位置づけ」と「準惑星」という名前が示してある。

 時代を先取りしました。 (^^)v
Posted by 管理人 at 2007年03月23日 01:15
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