2006年06月28日

◆ ビッグバン以前

 「ビッグバン以前の宇宙はどうだったか?」
 という疑問がある。これについては、「いろいろと仮説はあるが、はっきりとしたことはわからない」というのが、現段階では正解であるようだ。ただ、私なりに、エレガントな解答を出してみる。

 ※ なお、「現時点では、はっきりとしたことはわからない」という点については、下記を参照。
   http://aquarian.cocolog-nifty.com/masaqua/2004/06/post_19.html
   http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=467822──

 以下で述べることは、あくまで私なりの仮説である。その点、誤解しないように。(公的な見解の紹介ではない。)


 「ビッグバン以前の宇宙はどうだったか?」
 という問題について有名な解答は、ホーキングの次の解答だ。
 「そこでは時間すらもなかったから、『以前』という概念そのものが無効である」
 これと同じことを、私も考えたことがあった。で、それで得意になっているかというと、そうでもない。実は、ホーキングは、この解答をのちに否定して、煙に巻いた。私も、この解答はエレガントでないと感じるので、正解だと信じているわけでもない。

 で、最近になって、新たに別の解答を出した。こうだ。
 「ビッグバン以前には、虚数次元に巨大なエネルギーがあった。その巨大なエネルギーが、虚数次元から実数次元に移転して、ビッグバンが生じた」


 これは、仮説ではあるが、なかなかエレガントな解答だ。次のように言えるからだ。
 「実数次元だけを見れば、宇宙にはビッグバン以前というものはない。そんなものを考えるのは無意味だ。しかし虚数次元も見れば、ビッグバン以前というものがある。観測できるものだけという範囲では、それ以前というものがないが、理論的には、それ以前というものがある」
 なお、この仮説は、「虚数次元」という発想を使うので、前出の「超球理論」に依拠している。
 (超球理論: http://www004.upp.so-net.ne.jp/nando/physics2/wabun.htm

 さて。この解答に従うと、(虚数次元に)巨大なエネルギーがあったことになる。その巨大なエネルギーは、どこからもたらされたか? それが新たな問題となる。
 この問題については、次の仮説で答えよう。
 「ビッグバン以前には、巨大な宇宙が収縮した。非常に重たいブラックホールができて、宇宙の全体が一点に収縮した。最終的に収縮したあとで、そのエネルギーのほとんどすべてが、虚数の次元に移った」


 つまり、次の図式のようになる。

   現在  ←  ビッグバン  ←  虚数次元の  ←  巨大ブラックホール
   の宇宙    (実数次元)    巨大エネルギー   の収縮(別の宇宙で)


             *                         ・

 要するに、こうだ。
 初めに、別の宇宙で、その宇宙がどんどん収縮した。最終的には一点に収縮した。そのとき、ブラックホールの爆発が起こった。ただし、ブラックホールの爆発は、その宇宙の実数次元では起こらず、虚数次元にエネルギーが移転するという形で起こった。その虚数次元のエネルギーが、ふたたび実数次元に戻った。そのとき、新たに、宇宙が生じた。それが現在のわれわれの宇宙だ。

 このシナリオによると、宇宙は爆発と収縮を繰り返している、ということになりそうだ。
 ただし、従来の同種の仮説と異なるのは、次の二点だ。
  ・ 爆発の際に、虚数の次元を経由する。
  ・ 爆発の前と後とでは、どちらも実数次元になるが、
   その実数次元は同じ実数次元だとは言えない。

 比喩的に言うと、宇宙は「生まれ変わる」のである。
 従来の同種の仮説だと、一つの宇宙が収縮したり爆発したりした。行ったり来たりするようなものだ。
 しかしここで述べた仮説では、収縮したり爆発したりするたびに、別の宇宙に生まれ変わる。



  《 後日注記: 以下の記述は、あとで取り消されます。 》

 この二つの仮説では、どちらにしても、現在の宇宙は、ひょっとしたら、5回目の宇宙かもしれない。そこまでは似ている。ただし、そのあとが違う。
 前者の仮説では、以前の宇宙において、あなたにそっくりな人が生まれていたかもしれない。あなたの人生は、過去のあなたの人生を、ただなぞっているだけかもしれない。あなたの人生は、ひょっとしたら、ただの数式通りのものかもしれない。昔の宇宙を見れば、今後のあなたの人生も、わかるかもしれない。
 後者の仮説では、現在の宇宙は、たとえ5回目の宇宙だとしても、まったく新たな次元におけるまったく新たな宇宙だ。あなたの人生は、たった一回限りのものであり、過去にもなかったし、未来においてもないものだ。つまり、かけがえのないものだ。

 私としては、後者の仮説の結論の方が、エレガントだと感じる。それゆえ、私はこの仮説を信じたい。




 《 修正 》

 すぐ上の記述では、「宇宙は何回も生まれ変わる。現在の宇宙は5回目かも」というふうに述べた。しかし、あとで考え直して、これを否定する。
 すなわち、「生まれ変わる」ということ自体は否定しないが、その回数を1回限りに修正する。
 つまり、収縮と爆発を何度も繰り返すのではなく、収縮と爆発は1回だけある、と見なす。
 そして、その1回が、ビッグバンだ。
posted by 管理人 at 20:40| Comment(9) | 物理・天文 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
宇宙の誕生がブラックホールの爆発によるものであったとすると、既に、爆発物が拡散できるような空間が存在していたことになります。この空間は、そもそも有限なのでしょうか?そうだとすれば、その有限な空間の外側とはどうなっているのでしょうか?昔からの疑問です。
Posted by \(@o@)/ at 2006年06月28日 22:20
お答えします。
超球理論では、真空は、何もない状態ではなくて、超球が充満している状態です。
比喩的に言えば、真空は、空気が充満している状態です。空気が透明であるせいで見えないように、真空も透明であるので見えません。しかしそこには超球が充満しているのです。

真空は何もない空間ではなくて、超球で充満した空間です。これが宇宙です。

一方、宇宙の外側には、超球が充満していません。そこは何もないので、定規さえも意味をもちません。したがって何を考えるのも無意味です。

比喩的に言うと、空っぽという概念は、
   ( )
のように、カッコだけがあって中身がない状態です。

一方、カッコがなければ、何もないということ自体がわからないので、何を考えるのも無意味です。
> その有限な空間の外側とはどうなっているのでしょうか

 二は、「外側」というものを考えること自体が無意味だ、というふうに答えられます。外側なんてものは、ないのです。
Posted by 管理人 at 2006年06月28日 23:09
括弧のあたり・・・つまり外側と内側の境目はどうなっているのでしょう?
外側を考えるのが無意味…つまりどこまでいっても境目は無いのでしょうか???
Posted by すめし at 2006年06月30日 12:39
外側が存在しないので、境目もありません。
そのかわり「最前線」ならばある。

では、最前線の先は? 「先」という概念が成立しないので、「わからない」としか答えようがないですね。

「Aはどうなっていますか?」
という質問に対して、
「Aという概念が成立しないので、その質問自体が無意味」
と答えるしかありません。

それでも、本質的に言えば、「わからない」ということです。
もうちょっと面白く言えば、「わからない、ということが、わかっている」というふうになります。「無知の知」みたいですね。
何だか禅問答みたいですが。
Posted by 管理人 at 2006年06月30日 20:25
虚数次元から実数次元への流出を想定するのであれば、クラインの壺のようなモデルを採用した方が美しいのではないでしょうか。脈動する宇宙を考えるより仮定が少なくて済みます。

実数次元と虚数次元は表裏一体で、未来の宇宙は過去の宇宙と直接つながっていると考えれば超球の流出の向きが変わる必要がありません。管理人様の説だとどこかで超球の移動の向きが反転する必要がありますが、この説だとそのまま直進することになります。

別のコメントにも書きましたが、虚数次元は狭いというのは非対称で美しくありません。虚数次元を狭いとする根拠は超球の回転=虚数次元の振動が全ての空間で見られることでしょう。虚数次元から超球が押し寄せてきているのであれば、虚数次元で超球が振動している(実次元に押し返されている)ことは「狭小な次元」などというご都合主義を採用しなくても説明できます。

虚数次元の導入もご都合主義ではなく必然と解釈することができます。高次空間のモデルでないとクラインの壺のような構造は実現しないのですから。

この場合には、超球の移動の向き=時間の向きということになります。

複素エーテルという概念を採用している管理人様の説では、「虚数次元は狭い」という説明には違和感があります。

実数次元では空間の膨張を認めるのに虚数次元では狭いままで広がらないというのはおかしいでしょう。何もない空間が狭いというならば話はわかりますけれども。
Posted by 小澤英明 at 2011年05月15日 10:32
この問題は「虚数次元とは何か」という問題と密接に結びつきます。
 数学的には虚数次元はいくらでもユークリッド空間ふうに作れますが、物理学的には数学的な整合性だけではダメで、もっと明白な根拠が必要となります。微小サイズの次元は考えられるのに、大サイズの次元まで許容するとなると、そのような大サイズの次元にある「何か」を想定する必要がありますが、それを想定することは無理です。理論的な整合性だけだと、数学になってしまって、物理学になりません。

 この問題は「虚数次元とは何か」という問題と密接に結びつくので、別途、改めて考察する予定です。
Posted by 管理人 at 2011年05月15日 11:24
管理人様の仮説にさらに仮説を重ねただけですから、遊びだと思って頂いて良いですよ。

「虚数次元とは何か」という考察には興味があります。何故虚数を導入する必要があるのか私にはよくわからないので。


でも大サイズの次元を許容すると「何か」を想定する必要があるという理屈はわからないですね。

実数次元でもその「何か」は想定していないではありませんか。

物理学者に宇宙の外の話をすれば想定外という返事が返ってくるはずです。

同じことでしょう。
Posted by 小澤英明 at 2011年05月16日 07:11
ホーキング氏は「ブラックホールに吸い込まれた量子=情報は別の宇宙か次元に行くわけないのでホーキング放射の蒸発により全てこの宇宙に還元される」と発言されていたのですが貴方の論と矛盾しないのでしょうか?
あとブラックホールには裸の特異点問題など
物理学的に多くの課題があるのでこのブログで
ブラックホール論をもっと増やしてもらえれば幸いです。
Posted by 虫宇日 at 2013年07月18日 01:30
それらは一般相対論と数学の話なので、あくまで基本的な量子理論を扱う私の立場とは違います。私としては分野違いなので、口を出さないでおきます。
Posted by 管理人 at 2013年07月18日 06:35
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

  ※ コメントが掲載されるまで、時間がかかることがあります。

過去ログ