2006年04月21日

◆ 二次元真偽値


 通常の論理学では、真偽値は「真と偽」という二つの値で示される。(記法は1と0、またはTとF)
 これを拡張する形で、多値論理という論理学もある。真偽値は、1と0.5と0のように三つになることもあるし、有限のn個になることもある。また、無限個になって [0,1] という実数区間で示されることもある。
 いずれにしても、一次元の世界に真偽値がある。
 一方、これをさらに拡張して、二次元の世界に真偽値がある場合も考えられる。──

 この場合には、次のようになる。
   該当度 …… 横軸の値  0〜1
   確信度 …… 縦軸の値  0〜1
 
 図で示そう。簡単に示すために、値を3分割して示すと、次のようになる。

     該当度(= 名詞真偽値)
      ←→ 
     青  赤
       判明  ↑
           確信度( be動詞真偽値)
       不明  ↓

 例を示す。
 男は青、女は赤。
 ある子供を見て、男か女を判定する。
 通常は、男か女か、どちらかが判明する。(青または赤)

 まれに、どちらでもないタイプがいる。両性具有または無性。人間では非常に珍しいが、下等生物では珍しくない。生物学の本を見ればわかるとおり、こういうタイプがある。
 両性具有は、「青と赤の共存」であるし、無性は、「青も赤もない」ということだ。ただし、この双方を特に区別しないで、どちらも「赤と青の中間」というふうに見なせる。つまり、「紫」である。(図では上段の中央)

 一方、「どちらかであるはずだが、どちらかわからない」(不明)という場合がある。たとえば、パンダだと、生殖器官が見た目ではっきりしないので、成熟して発情するまで、オスかメスか判明しないことがある。この場合、「判明しない」「不明」という意味で、「青とも赤とも言えない」というふうになる。(これは、図では、下段左または下段右に相当する。)

 仮に一次元の真偽値を取るならば、「中間値」も「不明」も、どちらも「白でも黒でもない灰色」というふうに見なせる。しかし、二次元の真偽値を取るならば、「中間状態」と「不明」とは、異なるものだとして、区別される。

 たとえば、「宇宙人がいる」というのは、真偽値は白黒が決まらないが、これは、「中間値がある」という意味ではなく、「不明」という意味である。これを「中間状態のグレー」というふうに表現するのは適切ではない。

 ──

 さて。以上のことは、前フリである。
 以上のことを読んで、「何だ、当り前じゃないか、わかりきっている」と思うかもしれないが、それならそれでけっこう。問題は、このあとだ。

 以上の発想(二次元真偽値という発想)を取ることで、量子力学の最大問題は、自然に解決が付く。
 通常の発想では、「重ね合わせ」という発想を取る。すると、
  「Aという状態とBという状態の重ね合わせ状態にある」
 というふうに表現される。これは、二次元真偽値で言えば、
  「赤という状態と青という状態の重ね合わせである」
 ということになる。これは、次のいずれであると解釈してもよい。
  「赤が1個と、青が1個」(合計が2)
  「赤が 0.5個と、青が 0.5個」(合計が1)
 いずれにしても、状態は、重ね合わせであるから、「紫」と表現される。

 一方、「不明」という場合も考えられる。これはつまり、
 「赤か青か、どちらかに決まるのだが、現時点ではまだ確定していない」(未確定)
 ということだ。比喩的に言えば、トスしたコインについて、
 「表か裏か、どちらかに決まるのだが、現時点ではまだ確定していない」(未確定)
 ということだ。
 これは「確率的」な現象である。確率的な現象は、事象が決まるまでは、真偽値は「未確定」なのである。そして、それは「中間値である」ということではない。なぜなら、「中間値」とは、「表と裏の中間状態」のことであり、それは、「コインが立っている」という状態であるからだ。

 ここで、「コインが立っている」という状態は、コインを  | のように書くことができる。
 一方、「コインが未確定である」という状態は、「コインが回転している」という状態であるから、「表と裏と中間とが、時間軸のなかで連続的に交替している」という状態である。
 というわけで、「コインが立っている」という状態と「コインが未確定である」という状態とは、異なる。つまり、「紫」(上段の中間色)という状態と「色なし」(下段の灰色)という状態とは、異なる。

 「シュレーディンガーの猫」という問題がある。
 これについては、「これは確率的な現象である」と理解すれば、「赤と青とが未確定の状態(色なし or 灰色)である」とわかる。
 しかるに、「重ね合わせの状態にある」と理解すれば、「赤と青との中間状態(紫)である」と解釈することになる。
 現実には、確率的な現象であるから、前者(灰色)と理解するべきだ。しかし物理学者は、「重ね合わせ」という概念を使って、後者(紫)というふうに理解する。──そこから、誤解による矛盾が生じる。それがつまり、「シュレーディンガーの猫」というパラドックスだ。
 これは、根源的なパラドックスではなくて、確率現象を、「赤か青か」というふうに誤って解釈したことから生じる、誤解による矛盾であるにすぎない。従って、この問題は、確率現象を「確信度」で理解すれば、自然に解決する。

 たとえば、トスしたコインを伏せたとき、「表か裏か」と尋ねられて、「表と裏の中間だ」(コインが立っている)と答えれば必ず間違いだが、「表とも裏とも断言できない」(不明)というふうに答えればほぼ真実である。

 ──
 参考:
 シュレーディンガーの猫のサイト
http://hp.vector.co.jp/authors/VA011700/physics/catwja.htm
http://hp.vector.co.jp/authors/VA011700/physics/problem.htm
 ほぼ同趣旨のことを述べている。それを抽象化して学問的に述べたのが、上の話。
posted by 管理人 at 00:03| Comment(0) | 物理・天文 | 更新情報をチェックする
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