2005年08月21日

◆ 文字規格・補遺

 文字規格について、落ち穂拾いのような話をする。 ──

 今回の件(字形の変更の問題への解説)について、あちこちでいくらか反響があったので、まとめて記しておく。

 (1) 文章がまだるっこしい
 論理が繰り返されたり、比喩が過剰で下手だったり。……という批判。
 すみません。でも、短時間で一挙に書き上げたものですから、しょうがないでしょう。ね? 80枚もあるのを、ちょいちょいと書いて、すべて整合的で完璧、なんてことは、まず無理です。
 そりゃまあ、仕事で論文を書くなら、たっぷり時間をかけますけど。ネットの話なんて、ただの無償提供ですから。伝達内容が不足するのは困るが、余剰な情報が含まれるのは、勘弁してください。
 どうしてもちゃんとした文章が読みたいのであれば、「南堂の本を金を出して買いたいから、どこかの本屋が出版してくれ」という運動でも出してください。金を出せば、ちゃんとした文章が買えます。
 え? 金を出すのもイヤ? だけど高品質のものがほしい? そういう発想を、「××根性」というんじゃなかったかな。日本語では。(差別語が含まれるので伏せ字)

 (2) 何の責任?
 「南堂は何の責任を取るって言うんだ?」
 この手の文句はあちこちにあるようですが、日本語読解力のない人の質問には、お答えできません。
 読者の日本語読解力の不足は、私にはいかんともしがたい。まあ、「アラ探しをしよう」なんて思わないで、「素直に読んでみよう」と思えば、文意はわかるものです。
 その逆だと、「勝手に誤解して、虚像を作り上げて、虚像を非難する」というふうになる。

 (3) 公的な説明はある? 
 「JISの委員会からの公的な説明はあるぞ」という批判もあった。具体的には、次の解説サイト。
 http://internet.watch.impress.co.jp/www/column/ogata/sp15.htm

 日本語力のない人には、何を言っても無駄だと思いますが、注釈しておくと。──
 これ(公的な文書)は、「説明」ではなくて、ただの「官僚の自己弁護」というのと同様のものです。
 「われわれ当局は、これこれの方針でこれこれを決めました。この方針にはこれこれのメリットがあります。説明終わり」
 でもって、聞かされた方は、怒り狂う。「デメリットの方はどう説明するんだ? ちゃんと説明しろ」
 すると当局は、「もう説明はしました。十分でしょ。質問打ち切り」
 ── こういうのは「説明」とは言いません。ただの「自己弁護」。国民の疑問には何も説明していません。当局の話をちゃんと読めばわかるはず。

 (4) 詭弁の論理
 上記のサイト(略字主義者の牙城?)には、「字形の変更」に対する非難がわんさと書いてある。誤解の典型のようなものだが、分量があまりにも多大なので、対処できない。というか、対処する気がない。
 なぜか? この人は、経済学における「小林慶一郎」にそっくりだ。論理をやたらとひねくり回して、いかにももっともらしい論理を出すが、そのすべてが、ただの詭弁になっている。本質を問題にするのではなく、本質を逸らして、「揚げ足取り」のようなことばかりやっている。……まともに論じると、疲れるだけ。しかも、問題を扱うのではなく、揚げ足取りを扱うだけだから、非常に虚しい。
 「真か偽か」
 を論じるのであれば、賛否のいずれも有益だ。たとえば、私が先に紹介した「怒りにまかせて書いた」という人のサイトは、真っ正直に疑問をぶつけてきただけあって、それに反論することは、それなりに有意義だった。
 しかし、上記の「何とかの舟」というのは、論理を歪める形で問題を逸らすことばかりやっているから、まともに扱うと、疲れるだけで、何一つ得られない。狂人を扱うのと同様である。私はまともに対処する気はない。
 ただし、「高度な詭弁にだまされたい」「真実よりもソフィスティケートされた虚偽こそ信じたい」という人には、上記のサイトはお勧めである。
( ※ どこがどうおかしいかという具体的な例を知りたい人は、「小泉の波立ち」8月21日の[ 余談 ]をご覧ください。具体的にデタラメを説明した文書がリンクされています。5年前の文書ですが。)

 (5) 参考サイト
 参考サイトがあるので、紹介しておきます。
http://kstn.fc2web.com/new_font.html
 正字に賛成する人のサイトです。旧仮名遣い。
 略字主義者のゴミのような批判に、いちいちまともに答えています。親切ですね。私みたいな横柄な人間とは違います。
 この人が 1999年ごろにいたら、「同志の3人目」になれたと思うんですが。……ただ、今現在になると、「同志」っぽい人もけっこうたくさんいますね。でもまあ、「物事が完全に決まってからでないと発言しない」「消火作業が終わってから消火に賛意を示す」という人が多いのは、世の習い。
 (ああ、また比喩を使ってしまった。比喩嫌いの人が多いので、また文句を言われるかも。)

・・・・・・・・・・・・・・・・

 【 追記 】
 上記の (5) のサイトに書いてあるが、「unicode にすでに存在する文字」は、「字形の変更」がなされない、というのが、2004JISの方針だ。(具体的には、追加10字や、「鴎」の正字など。)──つまり、

  ・ unicode にある文字 …… 字形の変更をしない
  ・ unicode にない文字 …… 字形の変更をする

 というふうに類別される。そして、これは、私の提案(「字形の変更」の提案)そのものだ。
 結局、「字形の変更」については、私が当初から、技術的な点も含めて対処法を示していたわけだが、それがほぼそっくりそのまま採用されたわけだ。私としては、非常に嬉しく思う。
 繰り返して言うが、私の目的は、「混乱を避けること」である。その原則のもとで、上記の最善の方針が決定されたわけだ。

( ※ ただし、「何とかの舟」というサイトでは、「かえって混乱が増える」と非難している。「(パソコンではなくて社会における)略字と正字の並存」という不統一の状況を「秩序」と見なし、「字体を一種類に統一」という状況を「混乱」と見なす。……こういう詭弁にだまされてはならない。物事の本質を見失い、枝葉末節ばかりにとらわれると、こういうメチャクチャ論理となる。)


 次項 に続く。
posted by 管理人 at 09:01 | Comment(1) | TrackBack(0) |  文字規格 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
【 追記 】 を加筆しました。 時刻は ↓
Posted by 管理人 at 2005年08月21日 09:53
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