この件については、07月30日でも述べた。
http://openblog.seesaa.net/article/5453160.html
このページでは、「(4) まとめ・字形画像」のサイトを紹介した。
http://www.eonet.ne.jp/~kotobukispace/ddt/jisx0213/02132004.html
このサイトの内容を見ながら、改めて感想を述べよう。(読者もこのサイトを参考にしながら読んでほしい。JIS:2004 の文字一覧画像がある。コードポイントと字形の対応。)
まず、次のことがわかる。
● JIS:2004 では、X0213 を元にしており、字形を変更したものである。
● したがって、第3水準・第4水準の文字がある。
● これらの追加文字は、シフトJISの規格に収まっている。
● 外字コードまですべて埋められているので、外字は使えなくなる。
また、字形だけについていえば、次の点が注目点だ。
● 国語審議会の「簡易慣用字体」は、ほとんどが採用されていない。正字に変更されると同時に、略字の方は消えてしまっている。
● ただし、文字を追加される形で、「簡易異体字」が残ったものもある。それが、追加分の10字である。すなわち、下記だ。
「倶 剥 叱 呑 嘘 妍 屏 并 痩 繋」
この10字を、私なりに評価すれば、「剥」だけは(追加でなく)「字形の変更」をしてほしかったですね。現状だと、「剥」という気持ちの悪い略字がそのまま残ってしまう。他の文字は、目を凝らさないと違いがわからないものが多いが、「剥」だけはすぐにわかるし、非正規の文字だ。こんなものは消滅させてほしかった。残念。
(消滅させないと、以前の文字はみんな「剥」という略字のまま残ってしまう。また、「剥」の正字を使うと、旧来のフォント環境では文字が消滅してしまう。不便だ。)
(ただし、異論もあるだろう。そして、その異論が、多数派を占めたわけだ。私としては、この1字だけが、無念である。悔しい。


※ 「同感だ」とか「そうは思わないね」とかいう感想があれば、
下のコメント欄にお書き下さい。
訂正と追記。
訂正。
上記で「簡易異体字」というのは、正しくは「簡易慣用字体」である。(国語審議会の用語。)
追記。
「剥」という字は、「簡易慣用字体」に採用されていない。つまり、国語審議会の方針は、私の意向と同じで、「こんな略字は認めない」というものだ。
なのにJIS の規格では、この略字を強引に正規のコードポイントに押し込んでしまった。委員会の横暴。勝手に国語政策を決める。……汚点を残した感じだ。(ま、「現行でも使われている」というのが言い分だろうが、そんな言い分を通すくらいなら、最初から何もしないで、全部元のままにする方が筋が通っている。)
(ただし、私が書いたのは、「まったく消えてしまっている」ではなくて、「ほとんど消えてしまっている」ですから、ちょっとは弁明の余地はあるんですが。……苦しい言い訳。 (^^); )
──
なお、間違いの理由を釈明すると……
22字というのは、正式案(2000年)のもの。一方、私が根拠にしたのは、1999年の「試案」(39字)の方です。こっちを見て判断しました。
1999年に、国語審議会の試案(国語審議会の「表外字の印刷標準字体・試案」)が大々的にマスコミで報道されました。一方、正式案の方は、ほとんど報道されなかったような気がします。
で、試案の方では、簡易慣用字体として、
「遡辻祇(祀)渕桧壷噛讃櫛曽痩薮楕涛祷祢絣砺(芦)蝋篭卉(隙)掻薩煎(欝)頴澗(厩)惧荊靱纒兎桝臈(臘)」(39字)
が示されています。私はこれを見て、上記のコラムの話を記述しました。
試案からは半分ぐらいが削られたわけです。ですが、それは、JISというよりは国語審議会の方針だったのですね。この点では、私の勘違いでした。
お詫びして訂正します。また、ご指摘に感謝します。
※ 試案と正式決定の細かな違いなんて、5年も前の話なので、すっかり失念しておりました。(年を食ってボケたせいかも。)
※ しかしまあ、今回、大量の文書を書き散らした割には、間違いは少なかった方かも。……一人でこれだけたくさん書けば、間違いがいっぱい含まれていても良さそうだが。……いや、これからまだいくつか発見されるかも。 (^^);