「フォントの字形の変更」というMSの方針について、世間の話を聞くと、次の批判がある。
「新しいフォント(Vista用)に、WindowsXP では対処できても、Windows2000 や Windows98 で対処できないのは、困る。対処不能で、混乱が起こる。」 ──
なるほど、これは、もっともな話だ。古いパソコンを使っている人は、今でもけっこう多い。(Windows98 の利用者はさすがに1割を切ったようだが、Windows2000 の利用者は企業を中心にかなりたくさんある。)
ただし、実を言うと、この問題は、原理的な問題ではない。実務的に、マイクロソフトがサボっているだけの話だ。原理的には対処可能なのに、マイクロソフトが実務的な対処をサボっているだけだ。「不可能」なのではなくて、「サボっている」だけだ。
WindowsXP 以降では、フォントの形式が変更されている。Windows98 以前のフォントは、WindowsXP では使えなくなっていることが、けっこうある。(特に、Windows95 時代のフォントは、たいてい使えない。)
フォントの形式が異なるから、同一のフォントを、WindowsXP 以降とWindows98とでは、共用できない。とすれば、正解は、こうだ。
「新しい字形のフォントを、二種類の仕様で、別々に公開する」
・ WindowsXP 仕様のフォント (unicode 準拠)
・ Windows98 仕様のフォント (シフトJIS準拠)
この二種類のフォントを作成して公開すればいい。どうせ字形は同じだから、コンバーターで、フォントファイルをちょっとコンバートするだけだ。一部の文字では、コンバートが不可能かもしれないが、ま、全然できないよりはマシだ。(そもそも、新JISの168字のうち、148字だけにした、というのが、この制限から来たものだと思えるのだが。)
ともあれ、コンバートをやるだけで、方法としては解決可能だ。。
※ どうしてもMSがやってくれないなら、第三者である民間のソフト会社のフォントを使えばいい。たとえば、筆まめや筆王などの葉書ソフトには、新しい字形のフォントが搭載されるから、それを使えばいい。
※ 結論。「2007年の年賀状を書く前に、2006年の年末に、葉書ソフトを買い換える」(フォントを交換するために)と予定しておきましょう。今年の年末には、買わない方が良さそうですね。
※ 「今すぐ正字体のフォントを使いたい」という人は、「秀英明朝」というフォントを使うといい。この方法は、今までは「裏技」みたいだったが、これからは堂々と王道を歩めるわけだ。(秀英明朝の話は、「文字講堂」の「かわら版」に書いておいた。ネットでも情報を検索できる。)
※ ただし、秀英明朝を使うとき、一人だけ先走ると、「トンデモだ」といわれる危険があるので、注意のこと。世間というものは、「みんないっしょ」にやらないと、すぐに「トンデモだ」と大合唱するものなのだ。
「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」
「青信号 一人で渡れば トンデモだ」
2005年08月03日
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過去ログ
参考情報。
総務省の公開した人名漢字に、とんでもない誤字などが多数あった、という話。MSは漢字を理解しているが、総務省は全然駄目、というわけ。
http://d.hatena.ne.jp/iori3/20050513/p3
※ 3カ月前の朝日新聞の記事。